調査会社IDC Japanは2015年4月6日、国内企業におけるオープンソースソフトウエア(OSS)の利用実態調査結果を発表した。今回は、自社の情報システムにおけるOSS導入状況を調査した1次調査(有効回答数1782社)と、OSSを既に使用している企業に対して詳細な利用実態を調査した2次調査(有効回答数309社)に分けて実施。

 1次調査で、OSSを「本番環境で導入している」と回答した企業は31.5%に達し、「試験的に導入している」(5.2%)、「導入に向けて検証している」(4.1%)、「これから導入を検討する」(10.0%)とを合わせると、50.8%の企業がOSSを何らかの形で導入しているか、導入を検討していることが明らかになった()。一方、「導入の予定はまったくない」とした企業は33.3%、「今後の予定は分からない」とした企業は12.1%だった。

図●OSS使用企業における主なOSSの利用率(出典:IDC Japan)
図●OSS使用企業における主なOSSの利用率(出典:IDC Japan)
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 同社は、産業分野別にOSSの導入状況を調査。それによると、「本番環境で導入している」が30%を超えている産業分野は、通信/情報が39.2%、公共/公益が37.6%、金融が35.4%という結果だった。

 また、1次調査でIT戦略におけるOSSの使用方針について質問した結果、「積極的に使用する」と回答した企業は12.1%、「適材適所で使用する」は31.3%だった。同社では、両方を合わせると40%以上の企業がOSSの使用に対して前向きな方針を取っていると指摘。一方で、「明確な方針はない」が26.6%、「分からない」が9.4%となったことから、OSSに対する方針が不明瞭な企業も約3分の1を占めていると分析している。

 2次調査では、OSSを使用している企業に対して、より詳細にOSSの利用実態について調べた。本番環境で利用しているOSSの種類では、Linuxが63.8%で最も高い利用率となった。その他では、アプリケーションサーバーのTomcat(39.5%)とJBoss(13.9%)、RDBMSのMySQL(26.5%)とPostgreSQL(13.3%)、運用管理のZabbix(13.3%)、仮想化のXen(12.6%)とKVM(10.7%)、システムソフトウエアのSamba(29.1%)とOpenLDAP(15.5%)が利用率10%を超えたという。

 同社は、ビッグデータ関連ソフトウエアのHadoopやNoSQL、クラウド基盤ソフトウエアのOpenStackやCloudStack、仮想コンテナソフトウエアのDockerなど、最近注目のOSSについても分析。利用率こそ低いものの、今後、第3のプラットフォームにおいて活用が期待されると指摘している。