シンクタンクの矢野経済研究所は2015年3月20日、ERP/業務ソフトウエアにおける自社開発システムの利用意向に関する調査結果を発表した。それによると、システム更新および導入予定のある企業のうち、次回のシステム導入形態を自社開発システムと回答した比率は、販売管理システムが28.7%で現在の利用率51.1%から22.4%ポイント減。生産管理・SCMシステムは(加工組立製造業)22.6%で、現在の56.0%より33.4ポイント減となった。

 自社開発システムの利用比率が減少する背景には、パッケージソフトの機能向上があると分析。業種・業務に対応したテンプレートが提供されていることからパッケージソフトの利用が増加し、今後も自社開発システムからパッケージソフトウエア利用への移行がさらに進むと推定している。

 同社は、SaaSの利用意向に関する調査結果も発表した。それによると、現在、SaaSの利用率が最も高い業務分野は、CRM・SFAで12.9%となった。この分野では、新たにシステムを導入する、もしくは更新する予定のある企業のうち、次回のシステムをSaaSで導入するとした企業は29.0%に達し、現在の利用率(12.9%)から16.1ポイント増加するという。

 同社では、CRM・SFA市場は、外資系大手ベンダーを筆頭に有力なSaaSベンダーが牽引しているため、パッケージソフトではなくSaaSが優先的に利用される傾向にあると指摘。一方、財務・会計システムでは、現在、SaaSの利用率は2.4%で、システムの新規導入や更新時にSaaSを導入するとした企業も5.1%にとどまった。同社では、CRM・SFA以外の業務分野では、SaaS利用意向があまり強くないため、クラウド化は緩やかに進んでいくと分析している。

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