米IDCが現地時間2015年3月12日に公表したパソコン市場に関する調査によると、2015年の1年間おける世界出荷台数は前年から4.9%減少し、2億9310万台になる見通し。この減少率は同社の事前予測値3.3%を上回る。また2014年のパソコン世界出荷金額は前年比0.8%減の2010億ドルだったが、2015年は同6.9%減少するという。世界出荷金額はその後数年減少が続き、2019年には1750億ドルにまで縮小すると、同社は見ている。

 IDCによると、2014年後半は一部の市場で出荷台数が伸びた。だがこれは流通チャネルが「Windows 8.1 + Bing」搭載パソコンの在庫を増やしたことに起因する。米Microsoftが2015年初頭に同システムに対する助成金の規模を縮小するとの観測から、在庫がかさ上げされた。今後は消費者市場で在庫整理が行われるため、出荷台数に短期的な影響が出るという。またMicrosoftの助成金縮小、ドル高、薄型/コンバーティブル型/タッチスクリーン搭載システムの増加により、パソコンの平均販売価格は上昇すると、IDCは見ている。

 IDCは世界のパソコン市場を、新興国市場(日本を除くアジア太平洋地域、中南米、中・東欧、中東、アフリカなど)と、成熟国市場(米国、西欧、日本、カナダなど)に分けて調査している。

 それによると、2014年における新興国市場の出荷台数は前年比9.5%減の1億6370万台だった。これが2015年は同4.7%減の1億5600万台になると予測する。政治不安、物価下げ圧力などの要因が公共事業をはじめとする支出を削減し、パソコンに市場に影響を与えるほか、スマートフォン、タブレット、ウエアラブル端末といったライバル機器の台頭も難題を突き付けるという。

 また、2014年における成熟国市場の出荷台数は前年比8.4%増の1億4450万台で、4年ぶりのプラス成長となった。これにはWindows XPからの買い替え、タブレット端末の低迷、パソコン価格下落といった要因があったという。

 IDCが予測する成熟国市場における2015年の出荷台数は前年比5.1%減の1億3710万台。その後も漸減が続くものの、2019年は当初予測の1億3000万台を上回り、1億3400万台になると同社は見ている。好調だった2014年の実績に加え、訴求力のある低・高価格帯パソコンの登場がその要因という。

 IDC調査担当バイスプレジデントのLoren Loverde氏は、「成熟国市場における2014年のプラス成長は、世界市場安定化の一因となった」と述べている。ただ、世界市場の長期的な成長にとって、新興国市場の回復は不可欠だという。同氏は「新興国市場はモバイルデバイスへのシフトが続いており、(新興国市場の回復は)今のところ起こりそうにない」と指摘している。

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