シンクタンクの富士キメラ総研は2016年3月11日、企業の業務システムのコスト削減策として注目されているクラウドサービスの国内市場に関する調査結果を発表した。2015年度の国内市場規模は2兆1452億円に達する見込みで、2020年度には2014年度比77.2%増の3兆5089億円にまで拡大すると予測した。

 同社は、クラウドサービスをの四つに分けて、それぞれの市場動向を分析した。不特定多数の企業に提供する「パブリッククラウド」、特定業種または複数の企業が共同で利用出来るよう提供させる「業界クラウド」、特定企業に提供される「プライベートクラウド」、クラウド上で提供するコンサルティング、インフラ設計/構築、運用サービスなどの「ハイブリッドクラウドインテグレーション」である

 パブリッククラウド市場は、2015年度に6220億円に達する見込みで、2020年度には同2.8倍の1兆5204億円に達すると予測した。

 業界クラウドの市場は、2015年度に4805億円となる見込みで、そのうち共同利用サービスが72.9%を占めるという。共同利用サービスを利用している主な業種は、金融業と自治体と分析。利用目的としては、システム開発・運用コストを抑えることで、その分を他の業務システムや設備などに投資することがあるという。

 特に金融業は、顧客のビッグデータを活用するなどの戦略的システムへの投資を強めていると指摘。特化型SaaSは、小売、宿泊業や飲食業など中小規模の事業者が多数を占める業界において、低コストで利用できる点が評価されていると分析した。

 プライベートクラウド市場は2015年度に1兆140億円に達する見込みで、2020年度には同41.9%増の1兆3615億円になるという。プライベートクラウドの市場動向について、これまで導入に対して消極的であった大手企業も積極的にパブリッククラウドの導入を進めていると分析。オンプレミス型とのハイブリッドクラウドの構築が増えているとしている。

 また、ハイブリッドクラウドインテグレーションについて、同社は高い伸びが予想されると指摘。2015年度の市場規模は287億円に達する見込みで、2020年度には同4.0倍の840億円にまで拡大すると予測した。