米国の市場調査会社、eMarketerがこのほど公表した中国のインターネット広告市場に関する調査によると、今年(2016年)1年間おける同国のインターネット広告支出額は404億2000万ドルとなり、前年から30%増加する見通し。同国のネット広告支出額は今後も拡大を続け、2020年には今年の2倍以上となる835億9000万ドルに達すると予測している。

 eMarketerによると、中国の広告市場はネット広告への移行が急速に進んでいる。例えば昨年196億1000万ドルだったテレビ広告への支出額は、今年189億2000万ドルと3.5%減少し、ネット広告の半分以下、同国の全広告支出額の24.2%にとどまる見通し。

 一方でネット広告の中では、スマートフォンやタブレット端末などに表示されるモバイル広告が急成長しており、とりわけビデオコンテンツの前後や途中に流れるモバイルビデオ広告の成長が著しいという。

 同社の推計によると、今年の中国におけるモバイルビデオ広告の支出額は30億9000万ドルとなり、昨年から76.7%増加する見通し。これはパソコンも含めたネットビデオ広告支出額の55.0%に当たる。モバイルビデオ広告の支出額は2020年に91億5000万ドルとなり、ネットビデオ広告支出額の73.0%を占めるとeMarketerは見ている。

 なお中国のモバイル広告市場では、Baidu(百度)、Alibaba Group(阿里巴巴集団)、Tencent Holdings(騰訊控股)の3社の合計広告収入が市場全体の72.8%を占めるという。このうち最大のシェアを持つのはAlibabaで、その今年におけるモバイル広告収入は前年比54.8%増の91億6000万ドルになるとeMarketerは予測している。

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