調査会社のIDC Japanは2016年3月7日、国内の携帯電話とスマートフォンに関する調査結果を発表した。それによると、2015年通年のスマートフォン出荷台数は、従来型携帯電話からの移行が進み、前年比3.6%増の2749万台に増大。しかし、2015年第4四半期だけをみるとiPhoneの落ち込みが影響し、前年同期比13.7%減の852万台とマイナス成長に転じた。同社は、この落ち込みが年間のスマートフォンOS別シェアにも影響を及ぼしていると指摘。2011年以降、順調に拡大してきたiOSのシェアが2015年は後退し52.4%にまで下がった(図1)。

図1●2015年の国内スマートフォン出荷台数(ベンダー別シェア)
図1●2015年の国内スマートフォン出荷台数(ベンダー別シェア)
出所:IDC Japan
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、2015年のスマートフォンのベンダー別シェアについても調査。それによると、米アップルが2014年から6.3ポイント落としたが第1位を維持。第2位以下は、ソニー、シャープと続き、2014年に第4位であった韓国サムスン電子が第6位に後退し、代わって京セラが第4位、富士通が第5位へと順位を上げたという。

 また、同社はスマートフォンと従来型携帯電話を合計した携帯電話全体の出荷台数も調査。それによると、2015年通年では、スマートフォンの増加分が従来型携帯電話の落ち込みを補完することができず、前年比5.9%減の3442万台にまで減少した。2015年第4四半期もその傾向に変わりはなく、前年同期比15.7%減の1046万台だった。

 一方、2015年の国内携帯電話市場でのベンダー別シェアでは、第1位は以前としたアップルだった(図2)。ただし、2015年第4四半期のiPhone 6sの販売が伸びず、前年同期比20.8%減と大きく落ち込んだという。第2位にはスマートフォンと従来型携帯電話を安定して供給しているシャープ、スマートフォンに特化したソニーが第3位、京セラが第4位、富士通が第5位となり2014年から順位に変更はなかったという。

図2●2015年の国内携帯電話出荷台数(ベンダー別シェア)
図2●2015年の国内携帯電話出荷台数(ベンダー別シェア)
出所:IDC Japan
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、大手通信事業者の2015年度 第3四半期決算を見ると、各社とも2〜8%の増収、11〜18%の増益だったと指摘。この要因として、契約者向け動画などのコンテンツサービスが伸び、利用単価が上昇していることがあるという。同社では今後、スマートフォンの「実質0円販売」が廃止されるることから、通信事業者が過度の買い替えを追う必要がなくなると分析。「端末販売や価格設定に関する主導権は、iPhoneを中心に、携帯電話機ベンダーから通信事業者に移っていくであろう」と指摘している。