米IDCが現地時間2016年3月3日に公表した世界のスマートフォン市場に関する調査によると、同年における年間出荷台数は約15億台となり、2015年の実績から5.7%の増加にとどまる見通し。

 2015年における世界のスマートフォン年間出荷台数は14億4000万台だった。その前年比伸び率は10.4%と、2桁成長した。しかし世界最大の市場である中国がすでに新興市場から成熟市場に移行していることなどから、スマートフォンの年間出荷台数は今後2桁成長が見込めず、2015年が2桁成長の最後の年になるのではないかと、IDCは見ている。スマートフォンの世界年間出荷台数は今後年平均6.0%伸びで推移し、2020年には前年比4.3%増にとどまると同社は予測している。

 IDCによると、スマートフォンの出荷台数はインド、インドネシア、中東・アフリカ地域などの市場で引き続き堅調に伸びている。その一方で、米国、中国、西欧などの市場ではすでに1桁台の伸びにとどまっている。

 スマートフォンの出荷台数をOS別に見ると、Androidの2015年における出荷台数は11億7000万台だった。これが2020年には16億2000万台となり、そのシェアは81%から85%に拡大するとIDCは見ている。昨年実績では400ドル以上の端末が占める比率がわずか14%にとどまっており、Androidは引き続き低価格端末市場に強みを持つという。ただし、この分野は利幅が小さく、地場メーカーとの競争も激しいため、メーカーにとっては課題が多いだろうと同社は指摘している。

 AppleのiOS(iPhone)は2015年に2億3150万台を出荷し、その前年比伸び率は20.2%と、市場全体の伸びを大きく上回った。また2014年に663ドルだったiPhoneの平均販売価格は、2015年に713ドルに上昇した。これは約295ドルで推移する市場全体の平均価格を大きく上回っている。IDCが予測する、2016年におけるiPhoneの出荷台数は2億3120万台で、前年比0.1%減。ただしiPhoneは2017年以降に再びプラス成長するとIDCは予測している。Appleが今年2月に開始した分割払い付き下取りプログラム「Trade Up With Installments」が北米以外の市場にも広がることがその要因だと、IDCは説明している。

[発表資料へ]