調査会社のIDC Japanは2016年3月3日、通信事業者が法人向けに提供するWANサービスの国内市場に関する調査結果を発表した。2015年の市場規模は前年比0.1%減の7031億円にとどまった。ただし、パブリッククラウド用途のWANサービスに限定すると前年比65.0%増の58億円に急成長。データセンター間接続用途のWANサービスも同15.5%増の98億円に達した。
WNAサービス市場の動向についてはパブリッククラウドをはじめ、データセンターからエンドユーザーにITやコンテンツなどを提供するクラウド型サービスの利用が増えていると指摘。これにともない、ユーザー企業のパブリッククラウドへの接続のためのWAN回線利用や、クラウド型サービス事業者のデータセンター間接続回線などの利用が増加しているという。
イーサネット専用線の市場動向についても調べた。NTTコミュニケーションズやKDDIといった大手通信事業者以外に、Coltテクノロジーサービスが売上高シェアで12.1%を獲得したほか、アルテリア・ネットワークスが同10.8%、TOKAIコミュニケーションズが同5.4%を占めた。同社では、中堅通信事業者が健闘していると分析し、あわせて、こうした中堅事業者がサービス事業者向けに広帯域回線を積極的に提供してきたことが市場拡大の背景にあると指摘している。これらの中堅事業者は、パブリッククラウド接続でも早い時期からリーズナブルな価格で回線を提供し、市場の認知を得ているという。
同社では、パブリッククラウドなどのサービス利用の拡大にともないWANサービス市場の構造変化が始まっていると指摘。「通信事業者は、急成長しているサービスプロバイダーの迅速な帯域増強ニーズを支援するなど、サービスプロバイダーへのエンゲージメントを強化すべきである。また企業向けにはパブリッククラウドへのオンデマンド接続などWANサービスの高度化を図るべきである」と分析している。
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