調査会社のIDC Japanは2015年2月16日、国内クライアント仮想化市場でのROI(投資対効果)分析調査結果を発表した。それによると、クライアント仮想化製品の全体(全社導入、部分導入、試験導入)におけるROIは439.4%、投資回収期間は10.2カ月となった。この結果から同社は、クライアント仮想化製品を導入した企業が投資に対して4倍以上の効果を得て、しかも1年未満で投資コストを回収している、と指摘した。

 IDC Japanは、2011年から継続的にROI分析を実施しており、以前の調査結果と比較すると、毎年、企業においてクライアント仮想化の活用が進み、ROIの値はより大きくなり、投資回収期間が短くなっているという。

 同市場における初期投資額、年次投資額、ベネフィットに関する調査結果も発表した。それによると、初期投資額はエンドユーザー1人当たり21万8267円、年次投資額は同4万9859円、ベネフィットは同75万9172円である。

 クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は36.4%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.35時間(1日8時間勤務と想定した場合)となった。クライアント仮想化製品の導入により、エンドユーザーで31.7%、IT管理者およびITスタッフで32.8%、企業全体で36.4%の生産性向上が見られたという。

 今回の調査結果について、前回と比べて投資額とベネフィットがともに大きくなっていることを指摘。投資額が増えた背景として、クライアント仮想化のソリューションが多様化したこと、ストレージやネットワークへの投資が進んだことを挙げた。一方、ベネフィットが高まった要因としては、これら投資の増加によってスループットが向上したことから、導入した企業が生産性向上や業務効率化といった点において満足を得られているため、と分析した。

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