図●ECで受注する際に使われた端末種類別の市場規模
図●ECで受注する際に使われた端末種類別の市場規模
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 シンクタンクの富士経済は2016年3月1日、国内のEC市場に関する調査結果を発表した。それよるとEC市場は2014年に6兆1486億円に達しており、その後も拡大()。17年には、14年比17.5%増の7兆2272億円にまで成長すると予測した。

 同社はEC市場の動向について、実店舗からの需要シフトに加えて、カタログ通販やテレビ通販の受注ツールとして定着したと分析。2013年までは、EC市場は毎年二桁成長を続け、通販市場の拡大に大きく貢献してきたという。フィーチャーフォンやスマートフォンといったモバイル端末の普及も、ECによる通販を消費者にとってより身近にした要因となっていると指摘した。

 現在は、通販企業の受注形態がパソコンやフィーチャーフォンからのWebアクセスから、スマートフォンやタブレット端末からのアクセスへとシフトしている過渡期と分析。ECを手がける各社は、スマートフォンアプリの開発やWebサイトの最適化など、多様化する端末への対応に注力しているという。

 パソコンからのアクセスによる受注は2014年に4兆1962億円まで増加し、EC市場全体の68.2%を占めた。その傾向は今後変化し、17年には4兆1704億円に縮小、市場占有率も57.7%にまで下がると予測する。

 一方でスマートフォンからの受注は、2014年の1兆4962億円(24.3%)から急拡大。17年には2014年比57.6%増の2兆3573億円に達し、市場占有率も32.6%にまで拡大するという。

 また、インターネット上の仮想ショッピングモールについても調査。それによると、楽天市場(楽天)、Amazon.co.jp(アマゾンジャパン)、Yahoo!ショッピング(ヤフー)、DeNAショッピング(ディー・エヌ・エー)、ポンパレモール(リクルートライフスタイル)の5モールの売上高合計は、2014年に3兆1145億円で、EC市場の50.7%。通販市場の38.1%を占めた。

 仮想ショッピングモールの売上高合計が、2015年には2014年比9.1%増の3兆兆3992億円に達したと指摘する。特に楽天市場とAmazon.co.jpの2大モールが、物流センターの整備に積極的で、出品者の在庫を物流センターで管理することでリードタイムの短縮や送料無料などを実現。出品者の増加とともに取扱商品も増加し、売り上げもそれぞれ1兆円を超えるなど、通販市場の拡大をけん引していると分析した。

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