調査会社の矢野経済研究所は2015年2月27日、自治体向けソリューション市場(事業者売上高ベース)に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度は前年度比4.3%増の5364億円にとどまる見込み。微増の成長率に関して同社は、自治体におけるシステム改修の需要は拡大したものの、制度対応への方針が決まらないことなどから導入準備が遅れたり、システム設計の段階でとどまっている自治体も多かったためと指摘している。

 同社は、マイナンバー需要を背景とした影響は今後も続くと指摘。2015年度は、10月に国民へマイナンバーが通知されるために需要が拡大し、同市場規模は同7%増の5740億円になるという。2016年度以降はマイナンバー制度関連需要が落ち着きを見せるほか、自治体クラウドの普及が改修コストや運用コストを低下させていくと想定されるため、2016年度は同6.7%減、2017年度は同0.1%減とマイナス成長することを予測している。

 同社によると、これまで自治体クラウドは「セキュリティ面に懸念がある」「カスタマイズに制約がある」などの理由でサービス導入をためらう自治体が多かったが、ここ数年は検討段階から導入段階に移っている自治体が増加しているという。また、マイナンバー制度への対応において、選択肢の一つとしてクラウド化が用意されたことも、クラウド化を進める自治体の増加につながっていると指摘した。

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