図●2014年~2020年における国内IoT市場の支出額予測
図●2014年~2020年における国内IoT市場の支出額予測
(出所:IDC Japan)
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 調査会社のIDC Japanは2016年2月23日、国内のIoT市場に関する調査結果を発表した。2015年の市場規模は前年比15.2%増の6兆2232億円に達すると予測。2014年~2020年にかけての同市場の年間平均成長率(CAGR)を16.9%と想定し、2020年には13兆7595億円にまで拡大すると分析した。

 同社は、2015年のIoT市場の動向について、産業分野別では製造業、運輸業、公共/公益といった分野が市場の成長をけん引するとする。こうした分野では、従来から様々な組込み系の機器やインフラに対して投資を行ってきた経緯があるという。そうした機器やインフラの運用効率の合理化、機器・インフラを通じたエンドユーザー満足度向上などを実現していく上で、IoTを活用することが不可避の流れになりつつあるとまとめている。

 具体的な利用として、製造業における製造オペレーションや製造アセット管理、運輸業における輸送貨物管理やフリート管理などの合理化/効率化がある。同社では、組立製造、プロセス製造、運輸/運輸サービス、公共/公益、官公庁の5つの産業分野における、2014年~2020年にかけてのCAGRを16%台後半から17%台と分析しており、いずれも2020年までに1兆円以上の市場へ成長すると予測した。

 個人消費者、クロスインダストリーといった産業分野においても、スマート家電や「コネクテッドビルディング」などでの利用が拡大し、2014年~2020年にかけてのCAGRが20%を越え、高い成長性が期待されるという。

 こうした国内IoT市場の拡大の背景には、2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上昇の期待に加え、企業の事業部門におけるIT予算の拡大とIoTへの期待の高まり、IoTを利用する上での技術障壁/コスト障壁の低下、さらにはIoTをとりまく法規制や支援策の変化が影響している。「IoTには従来IT部門が担ってきたIT分野と、事業部門が担ってきたOT(Operation Technology)分野の双方において非常に幅広いリソースが必要となることから、それらをカバーすべくベンダー間のパートナーシップを拡大していくことが重要になる」と指摘している。

 また「法規制/技術標準化を進める上での政府やコンソーシアムに対する主体的な働きかけや、東京オリンピック後を見据えた新たな産業分野への参入、そしてスタートアップ企業との連携なども視野に入れていく必要がある」と分析している。

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