図●国内ITサービス市場 支出額予測:2015年~2020年
図●国内ITサービス市場 支出額予測:2015年~2020年
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 調査会社のIDC Japanは2016年2月17日、システムインテグレーション(SI)やITアウトソーシングなどのITサービスに関する調査結果を発表した。それによると、2015年の国内のITサービス市場規模は、前年比3.0%増と2年連続して3%台の成長を達成し、5兆3849億円にまで拡大する見込みとなった。同社は、同市場が2020年まで年間平均成長率1.7%で推移すると分析。堅調に推移していくと予測している。

 同社は、国内ITサービス市場が好調な背景について、SIやITコンサルティングを中心としたプロジェクトベース市場が牽引役となっていると指摘。金融機関におけるシステム更新や統合案件、マイナンバー制度に関連する投資といった大型案件のほか、2015年には企業の業績回復を背景にしたシステム更新/新規投資が多く見られたという。産業分野別では、金融業や流通業などで、バックオフィスのシステム更新/統合などに加えて、顧客接点強化に関わる投資が増え、好調な推移を下支えしたという。

 2016年以降の国内ITサービス市場の動向についても予測。システム統合やマイナンバーなどの大型案件が終息することもあり、成長率は鈍化すると分析。しかし、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、IoTなど第3のプラットフォームやデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が徐々に存在感を強めていくという。同社は、第3のプラットフォームに関連する支出が新たな成長の原動力になると指摘。、同市場が2020年まで拡大基調を維持すると予測した。

 その一方で、同社は 第3のプラットフォーム/DXを実現する人材の不足や、クラウド、BPO(Business Process Outsourcing)といったITサービスの代替製品/サービスの利用拡大を背景に、ITサービスベンダーがその市場機会をつかめない可能性があると指摘。「ITサービスベンダーが第3のプラットフォーム/DXをめぐる戦いに勝つためには、組織全体として、あるいは組織の枠を超えることによって、時代の変化に対応していかなくてはならない」という。その上で、「顧客のビジネスデザインを行えるスキル体得、提供サービスの範囲拡大、イノベーションの実現を目的とした新たなエコシステム構築などがあげられる」と分析した。

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