調査会社のIDC Japanは2016年2月3日、国内のビッグデータソリューション市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年のビッグデータテクノロジー/サービス市場は、前年39.7%増と大幅な成長を達成したという。

 同社は、ビッグデータテクノロジーについて、従来のBA(Business Analytics)のような単純なレポーティング/予測にとどまらず、リアルタイム処理をともなうアプリケーション基盤となっていると指摘。直接的に企業の収益に貢献することが期待されているという。

 その一方で、同社はユーザー層の拡大という面で課題も抱えていると指摘。現在、ビッグデータテクノロジーを活用する企業は、当初のネット系企業だけでなく、大企業を中心とした一般企業にまで拡大している。その背景には、IoTやFinTechなどの応用事例が示されたことがあるとしている。一方、自社のビジネスモデルや、技術的リソース、データ資源などを考慮してビッグデータテクノロジーへの取り組みを見送る企業も増加しているという。

 このような課題が見られる中、同社は業務/業種特化型のビッグデータソリューションが今後の国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場の成長に重要な役割を果たすと分析。特に国内企業においては、北米などの先進地域に比べてビッグデータ活用やアプリケーション開発に対応した組織や人的資源を十分に持たない企業が多いという。ベンダーやSIerの提供するビッグデータソリューションの役割は極めて重要であると指摘した。

 また、同社は、ビッグデータソリューションの提供者としてのイメージが強い企業についても調査()。それによると、最も印象に残るベンダーとされた企業は、国内企業では富士通がトップの10.6%、NTTデータが2位で8.5%。海外企業では米グーグルが9.3%、米IBMが7.1%で続いた。

表●ビッグデータソリューションの提供者として強いイメージを持つ企業
表●ビッグデータソリューションの提供者として強いイメージを持つ企業
出所:IDC Japan
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 IDC Japanは、富士通が今回の調査でトップになったことについて、日立やNEC、NTTデータなど国内大手ITベンダーやグーグル、オラクル、IBMなどの外資ITベンダーは、各社ともビッグデータソリューションに注力していると指摘。その中でも、ミドルウェアやクラウドサービスも含めて独自の製品を持ち、ビッグデータイニシアティブとして包括的なソリューション体系をアピールした富士通がユーザーに強い印象を与えたと分析した。

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