シンクタンクの矢野経済研究所は2016年1月27日、国内の小売業におけるビッグデータ活用に関する調査結果を発表した。小売業者173社を対象に実施したもので、今後ビッグデータ活用をしたい業務領域では「既存客の来店頻度向上」が61.8%と最多。「マーチャンダイジング(商品政策)」が53.2%、「客単価の向上」が50.3%と続いた。

 一方、「O2O(Online to Offline)」は11.0%、「オムニチャネルの実現」は15.6%と、将来的なデータ活用の課題に関しては回答した企業が少なかった。同社では、小売業におけるビッグデータ活用では、将来よりも日々の課題を解決すること、中でも集客向上を実現することに強いニーズがあると分析した。

 今後のビッグデータ活用への取り組みについても調査。それによると、「積極的に取り組んでいる」と回答した企業は6.9%に過ぎず、まだまだ取り組みが遅れていることが顕著になった。

 また、「未だ取り組んではいないが、今後の重要な課題である」ととらえている企業も20.2%にとどまった。反対に、「課題ではあるが優先度は低い」という企業が42.8%であり、「取り組む予定はなし」の28.9%と合わせると、全体の7割以上が現状ではビッグデータの活用にさほど積極的ではないという結果になった。

 同社では、積極的に取り組んでいると回答した小売業者においても、一般的にビッグデータと言われるような非構造化データを活用しているのではなく、すでに社内に多数ストックされている POSデータや顧客関連データなどを積極的に活用しようとする取り組みが、ビッグデータ分析の中心になっていると指摘。小売業におけるITを利用したビッグデータ活用については、まだまだこれからの発展の余地が大きいと分析している。

矢野経済の発表資料へ