国内情報セキュリティ製品市場予測
国内情報セキュリティ製品市場予測
(出所:IDC Japan)
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 調査会社のIDC Japanは2016年1月20日、国内の情報セキュリティ製品市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年のセキュリティソフトの市場規模は前年比5.8%増の2284億円で、その内、SaaS型セキュリティソフトは同15.3%増の142億円に達すると推計した。

 同社では、2014年~2019年におけるセキュリティソフト市場の年間平均成長率を4.8%と分析。2019年には2731億円に拡大すると予測した。また、SaaS型セキュリティソフトについては、2014年~2019年における年間平均成長率を12.5%とし、2019年には222億円にまで拡大すると分析している。一方、同社はセキュリティアプライアンス製品の市場動向も調査。市場規模を同0.3%増の415億円と推計した。

 同社は、2015年のセキュリティソフトの国内市場について、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティやメッセージングセキュリティなどの外部脅威対策製品で需要が高まったと指摘。2016年以降もサイバーセキュリティ基本法やマイナンバー法、改正個人情報保護法といった法規制によって、サイバーセキュリティ対策や個人情報保護対策への需要が拡大するという。

 今後、クラウドサービスやモバイルデバイスの利用拡大、標的型サイバー攻撃によるセキュリティ侵害の重大化で、アイデンティティ/アクセス管理やエンドポイントセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理のニーズが高まるとしている。

 また、同社はSaaS型セキュリティソフト市場では、エンドポイントセキュリティ、Webセキュリティで需要が高まっていると指摘。2016年以降は、標的型サイバー攻撃に対する先進的なマルウエア対策や運用管理負荷の軽減、事業継続を目的としたニーズが高く、SaaSソリューションへの需要が拡大するという。

 マイクロソフトのOffice 365やAzure Active Directoryとのクラウドベースでの連携ソリューションのニーズも高まっており、SaaS型セキュリティソリューションに対する需要は今後さらに拡大すると分析している。

 同社はセキュリティアプライアンス市場の動向も分析した。それによると、多層防御を備えたUTMとWeb経由のマルウエア感染を防御するWebセキュリティで需要が拡大するという。その一方で、ファイアウォール/VPNについては、UTMへの移行が進み、前年比成長率がほぼ横ばいの0.3%にとどまると指摘した。

 ただし、2016年以降は、サイバーセキュリティ基本法などの法規制によって、サイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化が求められると予測。多層防御を備えたUTM製品や、サンドボックス技術を使った非シグネチャ型IPS製品、未知の脆弱性を狙ったDDoS攻撃への対策製品が市場をけん引し、需要が拡大するという。同社は、セキュリティアプライアンス市場の2014年~2019年における年間平均成長率を3.2%と分析。2019年には486億円に拡大すると予測した。

 なお、標的型サイバー攻撃について、同社では標的型メール攻撃や未知の脆弱性を狙うゼロデイ攻撃といった巧妙化が進んでおり、セキュリティ侵害を防ぐことが難しくなってきていると分析。セキュリティインシデントによる問題が表面化した時点では、すでにそのインシデントが重大化しており、被害が深刻化している恐れもあるとしている。