米Gartnerが現地時間2016年1月18日に公表したIT支出額の推計によると、2016年の世界支出額は3兆5360億ドルとなり、前年実績から0.6%増加する見通し。2015年はドル高の影響を受け、世界のIT支出額は前年から5.8%減少したが、2016年はこうした逆風がなくなり、市場はわずかながら回復するという。

 2016年の支出額推計の内訳は、「データセンターシステム」が1750億ドル、「ソフトウエア」が3260億ドル、パソコン、携帯電話、タブレット端末などの「デバイス」が6410億ドル、「ITサービス」が9400億ドル、「通信サービス」が1兆4540億ドル。

 このうち、デバイスは前年から1.9%減少するとGartnerは見ている。ロシア、日本、ブラジルなどの国々の経済情勢が市場回復を遅らせているほか、新興国市場の携帯電話の購入がより安価なものに移行していること、これまで成長が見込まれていた市場でタブレット端末が低迷していることがその要因という。またGartnerが「Ultramobile Premium」と呼ぶ高性能薄型軽量パソコンはパソコン市場の回復に寄与するものの、その導入速度は若干遅くなると同社は見ている。

 一方で2015年に前年比で4.5%減少していたITサービスの支出額は、2016年は同3.1%増へと回復する見通し。クラウドインフラ導入の勢いが加速していることがその理由という。またIT支出全体の4割以上を占める通信サービスは、前年から1.2%減少するとGartnerは見ている。欧州連合(EU)や北米の一部でローミング料金廃止の動きがあり、通信サービス市場はその影響を受けると指摘している(関連記事:EU、ローミング料廃止案で合意、2017年6月15日を目処)。

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