調査会社のIDC Japanは2016年1月18日、国内のクラウドインフラストラクチャーソフトウエア市場に関する調査結果を発表した。クラウドインフラストラクチャーソフトウエアとは、クラウド環境(パブリッククラウド/プライベートクラウド)を構築、管理するために必要なソフトウエアのことで、主に仮想化ソフトウエアとシステム管理ソフトウエアのことを指す。

 同社は、2014年の市場規模は前年比38.4%増の143億7300万円に達し、2015年に同36.5%増の196億1500万円にまで拡大すると予測した()。2015年にはプライベートクラウド向けの売り上げが67.4%を占めると指摘している。同社では、2014〜2019年の年間平均成長率(CAGR)を31.8%と分析。2019年には2014年の約4倍の規模となる572億円に達すると予測した。

図●国内クラウドインフラストラクチャーソフトウエア市場での売上額予測(2014〜2019年)
図●国内クラウドインフラストラクチャーソフトウエア市場での売上額予測(2014〜2019年)
出所:IDC Japan
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 同社は2015年の動向について、大手グループ企業やデータセンターサービス事業者で、既に構築している仮想化基盤をプライベートクラウド基盤に発展させていくケースが増加していると分析。仮想マシンのプロビジョニングツールや運用プロセスを最適化するためのオーケストレーションツールの導入が増えているという。

 2014年のベンダー別シェアも調査している。それによると、ヴイエムウェアが35%以上のシェアでトップ、次いでIBM、マイクロソフト、富士通、NECが続いているという。ただし、2位以下はいずれもシェア10%未満で、同社ではヴイエムウェアの存在感が際立っていると指摘した。トップ5の中では、マイクロソフトが60%以上の成長率を達成している。

 同社は今後、引き続きプライベートクラウド向け市場は拡大していくと分析。パブリッククラウド向けは、短期的にはIaaS(Infrastructure as a Service)上に構築されたシステムに対する監視や管理、中期的にはハイブリッドクラウドの実現のためにクラウドインフラストラクチャーソフトウエアが実装されていくという。さらに、プライベートとパブリックの両方において、OpenStackを採用したクラウド基盤の構築が2017年頃から本格化し、OpenStackディストリビューションや機能拡張を図るためのソフトウエアの売り上げも市場成長に寄与すると分析している。

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