米Gartnerと米IDCはそれぞれ現地時間2015年1月12日、世界のパソコン市場に関する調査結果(速報値)を公表した。それによると、2014年第4四半期(10~12月)は依然本格回復には至らなかったが、主な上位メーカーの出荷台数の伸びが市場平均を上回った。

 Gartnerの調査では、第4四半期の世界パソコン出荷台数は8370万台で、前年同期に比べ1%増加した。「過去2年以上に及んだ低迷の後、緩やかながらも着実な成長を示し、市場は安定してきた」としている。

 Gartnerの主席アナリスト、北川美佳子氏によると、パソコンからタブレット端末に買い替える動きは2013年から2014年上半期にかけてピークに達した。すでにタブレットは主要市場で広く普及しており、消費者支出の対象は徐々にパソコンに戻っているという。

 一方IDCが公表した2014年第4四半期の出荷台数は8080万台で、前年同期から2.4%減少した。この減少率は同社の事前予測値である4.8%減よりも小幅。ただ、第4四半期の出荷台数は前の四半期と比較しても減少している。結果として2014年の年間出荷台数は前年比2.1%減の3億860万台となり、3年連続の前年割れとなった。

 なおIDCが言う「パソコン」とは、デスクトップパソコンや、取り外し可能なキーボードを備えないノートパソコンのことを指す。これには米AppleのiPad、Androidタブレットのほか、米MicrosoftのSurface Proも含まれない。一方GartnerはWindowsベースのタブレットを含め、取り外し可能なキーボード付きノートパソコンもパソコンのカテゴリーに入れている(ただしGartnerはChromebookを除外している)。

 Gartnerによると、2014年第4四半期のメーカー別出荷台数は、中国Lenovo Group(聯想集団)が首位で、そのあと、米Hewlett-Packard(HP)、米Dell、台湾Acer Group、台湾ASUSTeK Computer(ASUS)と続いた。

 このうちLenovoの出荷台数は前年同期比7.5%増で、市場シェアは19.4%。HPの出荷台数は同16.0%増で、シェアは18.8%となり、Lenovoとの差を縮めた。Lenovoは米国とEMEA(欧州、中東、アフリカ)で出荷台数を伸ばしたが、中南米と日本では減少した。HPは米国が好調だったほか、EMEAとアジア太平洋地域の伸び率がそれぞれの平均を上回った。このほか、Dellの前年同期比伸び率は8.8%、Acerは同11.6%で、いずれも市場平均を上回っている。

 Gartnerの調査では5位はASUSだが、IDCの調査では米AppleがASUSを上回り5位に入った。IDCによるとAppleの出荷台数の前年同期比伸び率は18.9%で、上位5社の中で最も高い。Appleについては、安定成長、ここ最近の値下げ、成熟国市場における需要の高まりが、市場平均を上回る伸びをもたらしたと、IDCは指摘している。

[Gartnerの発表資料]
[IDCの発表資料]