写真1●ウエアラブル機器からバーコードを読み込む(デモを実演しているのはSAPジャパンの井口和弘ディレクター)
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写真2●アプリケーションの選択画面
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 SAPジャパンは2014年11月6日、ウエアラブル対応製品の提供を開始したと発表した。投入したのは、倉庫でのピッキング作業を支援する「SAP AR Warehouse Picker」と保守・保全などのサポート業務を支援する「SAP AR Service Technician」の2製品。音声認識機能付きメガネ型ウエアラブル機器と同社のERP(統合基幹業務システム)製品を連携させて、倉庫やサポートといった業務をハンズフリーで実行可能にする。同社がウエアラブル対応製品を提供するのは今回が初めて。

 Warehouse Pickerは倉庫でのピッキング担当者向けで、(1)ERPから得た作業指示を受信・表示、(2)商品に付いたバーコードを読み取ってピッキング情報を入力、(3)作業完了を音声で指示、といった作業を支援する。通常はバーコードをハンディターミナルで読み取るが、同製品では担当者が装着したウエアラブル機器で読み取るので、手を使わないぶん作業を効率化できるという(写真1、写真2)。

 最初のバージョンでは、ウエアラブル機器として米ビュージックスの「M100」を使う。SAPジャパンの倉庫管理モジュール「Extended Warehouse Management」との連携が前提となる。

 Service Technicianは設備や機器などのサポート担当者向けで、(1)3Dモデルを利用した作業手順の提示、(2)音声メモの記録、(3)スタッフとのビデオ通話、といった機能により、作業の効率化や質の向上を支援する。最初のバージョンではウエアラブル機器としてM100を利用し、SAPの保守・保全用モバイルアプリケーション「Work Manager」を介してERPと連携する。

 SAPはモバイルの延長としてウエアラブル技術を捉えており、今回投入した2製品は「当社のユーザーにとって最も効果的かつ現実的な利用分野だ」と、モビリティソリューション本部の平垣達也シニアモビリティスペシャリストは話す。

 テクノロジー&プラットフォームソリューション モビリティソリューションズの井口和弘ディレクターは、業務分野でのウエアラブル機器の利用について「ソフトウエア側には制約はほとんどないが、ハードウエアにまだ多くの制約が残っている」と指摘する。現状の制約として挙げたのは、(1)バッテリーの持続時間、(2)画面の解像度、(3)カメラの視野角、(4)重さ、の4点。(1)については「現状では連続して使えるのは3、4時間程度。業務に使うのであれば、連続で8時間利用できるのが望ましい」(井口ディレクター)。

 同社は両製品について、2015年は特定ユーザーとの評価期間と位置付ける。「SAP ERPを使っており、倉庫やサポート業務の効率化を望むユーザー数社をピックアップし、評価・検証していく」(平垣シニアモビリティスペシャリスト)。そのうえで2016年から本格的にビジネスを展開していく計画だ。