中国のスマートフォンメーカー、Xiaomi(小米科技)はコストを抑えた効率的な経営を行っており、低価格端末を販売しながらも利益を増やしていると、米Wall Street Journal(WSJ)が現地時間2014年11月5日に報じた。

 それによると、2013年におけるXiaomiの純利益は34億6000万元(5億6600万米ドル)で、前年の18億8000万元から84%増加した。また同年の売上高は前年から2倍以上の270億元に上った。Xiaomiは2014年の純利益が前年比で75%増えると見込んでいるという。

 Xiaomiは非上場企業で財務情報を開示していない。だが、同社が銀行に提出した、海外進出や企業買収を目的にした10億ドルの資金借り入れに関する書類で明らかになったという。低価格スマートフォンを販売する多くのメーカーが採算を取ることに苦労している中、Xiaomiの事業はまれに見る高収益だとWall Street Journalは伝えている。

 先ごろ、市場調査会社の米IDCが公表した世界のスマートフォン市場に関する調査によると、今年7~9月期におけるXiaomiの出荷台数は、前年同期比211.3%増の1730万台。Xiaomiはそれまで出荷台数のメーカー別ランキングでトップ5圏外だったが、この7~9月期で一気に3位に浮上した。IDCはXiaomiの成長の鍵となったのはハイエンドモデルの「Mi 4(小米手机 4)」と指摘している(関連記事:2014年のQ3の世界スマホ出荷台数は25%増、Xiaomiが3位に浮上)。

 Wall Street Journalによると、Xiaomiの旗艦モデルであるこのMi 4の中国における販売価格は1999元(327米ドル)から。また廉価モデル「Redmi 1S(紅米手机1S)」の価格は699元(114米ドル)から。Xiaomiはこうした価格帯の端末で、利益を犠牲にしながら市場シェア拡大しているとアナリストらは見ていたが、今回の書類でそうではないことが明らかになったとWall Street Journalは伝えている。

 同紙によると、Xiaomiの高い収益力を支えているのは、そのマーケティング手法。同社は、ユーザーが不満、要望などを書き込めるネットフォーラムやソーシャルメディアをマーケティングの主軸としている。6億人以上いると言われる中国ネットユーザーの口コミを利用しながら、端末をネット販売し、わずか数年で急速に事業を拡大したという。

 またXiaomiはユーザーの意見をソフトウエアや機能に反映させることで、忠実なファン層を築いたという。この戦略は、ユーザーの保持という点で効果があるだけでなく、マーケティング費用の大幅削減にもつながっていると、アナリストらは分析している。