写真1●「vForum 2014」で講演する米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)
写真1●「vForum 2014」で講演する米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)
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 ヴイエムウェアは2014年11月5日、東京都内で「vForum 2014」を開催し、パブリッククラウドのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である「vCloud Air」の日本データセンター(DC)からのサービスを11月10日に開始することなどを発表した(写真1)。まずは西日本にあるDCでサービスを開始し、2015年前半には東日本にもDCを増やす。

写真2●米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)
写真2●米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)
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 日本市場におけるvCloud Airのサービス提供主体は、米ヴイエムウェアとソフトバンクテレコム、ソフトバンク コマース&サービスの3社が共同出資で設立したヴイエムウェア ヴイクラウドサービスである。米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)は同日に行った記者会見で、「既に日本でも50社のユーザー企業がサービスを試用しており、パフォーマンスに優れているといったフィードバックを受けている」と語り自信を見せた(写真2)。

「まずはピーク時のリソースとして使ってほしい」

 ゲルシンガーCEOはvCloud Airの特徴として、ユーザー企業がオンプレミスで試用する「vSphere」や「vCloud」と全く同一の環境をパブリッククラウドでも利用可能であることを挙げる。「ユーザー企業はシステム利用のピークに合わせてITインフラストラクチャーを整備しており、平均的なシステム利用率は40%に留まっている。vCloud Airはまず、ピーク時のITインフラとして利用して欲しい。そうすればユーザー企業はオンプレミスのITインフラの規模を大きくする必要が無くなり、システム利用率を80%以上に引き上げることができるだろう」(ゲルシンガーCEO)。

 パブリッククラウド市場では、米グーグルが「サービス料金を1年毎に30%ずつ引き下げる」と宣言するなど価格競争が激化している。それに対してゲルシンガーCEOは、「サービスの競争力は維持する考えだが、価格引き下げのレースに加わるつもりはない」と述べ、「エンタープライズ向けに、セキュリティや管理性など価格とは別のポイントを訴求していく」との方針を示した。

 ヴイエムウェア自身がITインフラを構築し運用するvCloud Airは、同社が掲げる汎用的なPCサーバーとソフトウエアの組み合わせによってネットワークやストレージなどの機能を実現する「Software Defined Data Center(SDDC)」構想のショーケースでもある。ゲルシンガーCEOは、「vCloud AirのDCでは、物理的なロードバランサー(LB)やファイアウオール(FW)は一切使用していない。LBやFWはPCサーバー上で稼働する『VMware NSX』で実現することで、オペレーションの効率化とコスト削減を実現している」とアピールした。

ホワイトクラウドはvCloud Airへ統合

写真3●ソフトバンクテレコムの宮内謙副社長兼COO(最高執行責任者)
写真3●ソフトバンクテレコムの宮内謙副社長兼COO(最高執行責任者)
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 記者会見にはvCloud Airの日本でのサービス提供で提携しているソフトバンクテレコムの宮内謙副社長兼COO(最高執行責任者)も出席(写真3。宮内副社長は「2015年3月までに少なくとも300社の顧客を獲得する」と意気込みを述べた。ソフトバンクテレコムはこれまで、「ホワイトクラウド」の名称で独自のIaaSを提供してきたが、「ホワイトクラウドを将来的にvCloud Airに統合することを考えている」(宮内副社長)という。