写真1●2014年4~9月期の連結決算を発表するソフトバンクの孫正義社長。
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写真2●ソフトバンクの国内設備投資額の推移。
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写真3●ソフトバンクの過去の投資案件(その1)。
写真3●ソフトバンクの過去の投資案件(その1)。
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写真4●ソフトバンクの過去の投資案件(その2)。
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 ソフトバンクは2014年11月4日、2014年4~9月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比57.9%増の4兆1043億円、営業利益は同19.1%減の5966億円と、増収減益だった。「米スプリント以外はほぼすべて期初の計画通り」(孫正義社長、写真1)。スプリントの立て直しで販売攻勢に出るため、2015年3月期の連結業績予想を従来の1兆円から9000億円に下方修正した。

 売上高はスプリント(前年同期は第2四半期からの反映)に加え、米ブライトスターやフィンランド・スーパーセルの業績を計上したことで大幅に増加した。一方、営業利益は減益となったが、前年同期はガンホー・オンライン・エンターテイメントやウィルコムの子会社化に伴う一時益の計上で上振れしており、この影響を除くと実質的に22%の増益に相当するという。

 2014年4~9月期の移動通信事業(スプリントを除く)の売上高は前年同期比36.6%増の1兆8934億円、セグメント利益は同12.7%増の4016億円。全体的に好調だが、同セグメントにはブライトスターやスーパーセルも計上されているため、判断が難しい面がある。ソフトバンクモバイルにおいては、端末出荷台数の減少で物販の売り上げが減少したものの、サービスの売り上げで挽回。売上高は235億円の増収、営業費用減少で営業利益は260億円の増益効果(ともに連結消去前)があったとしている。

 2014年7~9月期の移動体通信サービスの純増数はソフトバンクモバイルが56万5000件、ワイモバイルが6万4000件(4万6000件の純減だったPHSの契約数を含む)。ソフトバンクモバイルのARPU(契約当たり月間平均収入)は、同260円減の4260円だった。通信料の高いLTEの契約数は増えているが、通信料の低い端末の増加や音声通話の減少などが影響した。解約率は2年契約の非音声端末の解約増加などにより、同0.15ポイント増の1.27%だった。

 いずれにせよ、国内の設備投資は2014年3月期(7125億円)でピークアウトしており、今後は余裕が出てくる。設備投資額は2015年3月期に5150億円、2016年3月期に4250億円、2017年3月期に3750億円と徐々に減っていく計画(写真2)。このため、孫社長は「モバイル事業でようやく現金を稼ぐ『収穫期』が来た。これからが本格的なフリーキャッシュフロー(FCF)創出のステージになる」と余裕を見せた。