イージェネラは2014年11月4日、物理サーバーを仮想サーバーのように動的に扱えるようにするサーバーリソース管理ソフトの新版「PAN Manager 8.0」を発売した。新版では、I/O仮想化機能を備えたネットワークカードを組み合わせることによって、ブレードサーバーだけでなく汎用のラックマウント型サーバーをサーバー資源として利用できるようにした。開発会社は米Egenera。

 PAN Managerは、各社のブレードサーバーなどが備えているI/O仮想化機構を利用することによって、物理サーバーでありながら、あたかも仮想サーバーであるかのように動的にサーバー資源を調達できるようにするソフトである(関連記事:イージェネラ、物理/仮想の混在サーバープールを作る運用ソフトに新版)。複数台のサーバーが混在したリソースプールを形成し、ここから必要に応じてサーバー資源を切り出してアプリケーションに割り当てる。仮想サーバーでは当たり前の機能だが、物理サーバーを同様に管理できるソフトは珍しい。

 今回の新版では、ブレードサーバーだけでなく、汎用のラックマウント型サーバーを利用してサーバープールを構築できるようにした。具体的には、各社のブレードサーバーが備えるI/O仮想化機構と同等の機能を、汎用サーバーのPCIスロットに装着可能なネットワークカードに担わせる。これにより、ラックマウント型サーバーだけでPAN Managerを運用できるようになる。最大で256台のラックマウント型サーバーでサーバープールを構成できる。

Emulex CNAを使ってサーバーI/O(MAC/WWN)を仮想化

 PAN Managerの前提となるI/Oの仮想化では、個々のサーバーについて、イーサネットの仮想MACアドレスや、FCoE(FC over Ethernet)の仮想WWN(World Wide Name)およびブートターゲットを動的に設定する。今回、これらの設定を動的に変更する仕組みを、米EmulexのCNA(コンバージドネットワークアダプター)である「CloudCard」(OCec14102-UX)と、CloudCardの制御ソフト「DMF」で実現した。

 サーバーをプロビジョニングする際の実際の動作はこうだ。PAN Managerは、DMFにサーバーの設定情報を通知するとともに、プロビジョニングするサーバーの電源を立ち上げる。さらに、サーバーを収容しているToRスイッチのポート/VLAN定義をサーバー設定情報に合わせて書き換える。DMFは、PAN Managerから通知されたサーバーの設定情報に基付いて、CNAの設定内容(MACアドレスやWWNなど)を書き換える。最後にCNAからSAN上のOSをブートする。

 米EmulexのCNAは、原理的にはPCIスロットを備えるすべてのx86系サーバーで利用できる。ただし、まずは検証が完了した米Hewlett-Packard製のラックマウント型サーバーに限って動作保証する。2014年内には富士通製のラックマウント型サーバーでの検証/動作保証も実施する。これ以外のベンダー製についても、ユーザーの要望が多いものから順次検証するとしている。

 また、同社による検証の結果、独自のI/O仮想化機構を利用するブレードサーバーと比べて、今回の仕組みを採用したラックマウント型サーバーの方がサーバー機のブート時間が大幅に短くなったという。具体的には4分未満でブートできたとしている。