写真1●2014年4~9月期連結決算を発表する加藤薫社長。
写真1●2014年4~9月期連結決算を発表する加藤薫社長。
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写真2●「ドコモ光パック」の料金イメージ。
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 NTTドコモは2014年10月31日、2014年4~9月期連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は前年同期比1.2%減の2兆1729億円、営業利益は同15.5%減の3995億円と減収減益だった。6月に始めた新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」による減収影響が想定を上回り、「かなり厳しい結果となった」(加藤薫社長、写真1)。

 2014年4~9月期の指標数値は前年同期に比べ、純増数が約5倍の119万件、新規販売数が約7%増の366万件と「それほど悪くなかった」(加藤社長)。2014年7~9月期の解約率は0.62%、MNP(モバイル番号ポータビリティー)による転出超過数は9万件と改善の傾向にある。新領域も、dマーケットの契約数(780万件)や1人当たりの利用料(四半期ベースで990円)をはじめ、着実に成長しているとした。

 ただ、新料金プランの導入や端末販売価格の引き下げが大きく影響した。前者の新料金プランは通話量の多い高ARPU(契約当たり月間平均収入)ユーザーから移行が進むため、当面は減収の影響が出やすいが、想定を大幅に上回った。収支へのマイナス影響は2014年6~9月期で約400億円、2014年度下期は約600億円(ともに前年同期比)を見込んでいるという。一方、後者の端末販売価格はiPhoneをはじめ、他社との競争対抗で引き下げを余儀なくされた。

 同社は当初計画の前倒しでコスト削減も進めているが、上記2つの影響が大きいため、期初に発表した2015年3月期の業績予想を下方修正した。売上高は従前の4兆5900億円から4兆4000億円に、営業利益は従前の7500億円から6300億円に、それぞれ引き下げた。営業利益の下方修正の内訳は、新料金プランのマイナス影響が1200億円、端末販売価格のマイナス影響が600億円、コスト削減のプラス影響が500億円である。なお、新料金プランによる影響は、期初計画で200億円の増収を見込んでいたため、前段の説明とズレが生じている。

 決算説明会では、NTT東西の光回線(サービス卸)を借りて「ドコモ光」を2015年2月に始めることも明らかにした。料金の詳細は後日、改めて発表するが、携帯電話の新料金プランと組み合わせ、契約したパケット通信量(シェアパック)に応じて割引額が変動する体系を検討しているという(写真2)。「上位プランほど少ない負担で利用できるようにする」(加藤社長)。NTTドコモがサービスの受け付けから保守、サポートまでをワンストップで提供。インターネット接続事業者(ISP)と組み、「フレッツ光」の既存契約者はISPの契約を変更せずに乗り換えられるという。

 このほか、2014年度下期の重点施策として、「新料金プランのアップセルと普及拡大」「スマートフォンやタブレットの販売促進」「dビデオやdヒッツ、dマガジンをはじめとしたdマーケットの利用促進」などを挙げた。このうち、新料金プランは第3四半期に底を打ち、2015年度には黒字化できる見込みである。新料金プランの当初の狙い通り、パケット通信の利用を促すことにより、収入の拡大を図っていく。

 最後に2017年度の中期目標も公表した。まず、営業利益は2017年度に2013年度水準以上(8200億円以上)を目指す。このうち、1000億円以上は新領域を見込むほか、2013年度比で4000億円以上のコスト削減も実施する。2015~2017年度の設備投資額は6500億円以下に抑える計画である(2013年度は7031億円)。「社員一人ひとりがチャレンジャーの意識を持って達成にまい進する」(加藤社長)と宣言した。