写真1●スマホ画面に物理的な黒いスタンプを押すところ
写真1●スマホ画面に物理的な黒いスタンプを押すところ
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写真2●スタンプを押すと電子的に認識され、画面にスタンプ(ピザのマーク)が表示される
写真2●スタンプを押すと電子的に認識され、画面にスタンプ(ピザのマーク)が表示される
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写真3●東急百貨店MD企画部デジタルメディア部デジタルマーケティング担当の須崎直哉課長(左)と、Leonis&Co.の伊藤圭史共同代表
写真3●東急百貨店MD企画部デジタルメディア部デジタルマーケティング担当の須崎直哉課長(左)と、Leonis&Co.の伊藤圭史共同代表
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 東急百貨店は2014年10月30日から11月4日まで、東京・渋谷にある本店と東横店、渋谷ヒカリエShinQsの3カ所で同時開催する催事で、スマートフォンを使ったスタンプラリーを実施する。スマホの画面に直接押すスタンプラリー機能を採用した。物理的な専用スタンプを顧客のスマホ画面に押すと、スタンプが電子的に認識されて、画面に表示される仕組みだ(写真1、2)。百貨店では業界初の試みだという。

 このスタンプラリーは、オムニチャネルなどのマーケティング支援を手掛けるLeonis&Co.(以下レオニス)が開発したシステム「OFFERs」の機能を利用している。スマホの画面に直接押すだけなので、顧客は紙を使ったスタンプラリーと同じ感覚で、簡単に参加できる。顧客は自分のスマホに東急百貨店のスマホアプリをインストールする必要があるため、念のため店員がスタンプ置き場に付き添ってはいる。だが基本的には顧客自身がスマホに自分でスタンプを押して回るセルフ形式になっている。店員に余計なオペレーションが発生しないので、店舗側の負担はほとんどない。

 今回開催する東急百貨店の催事は「SHIBUYAイタリアフェスタ」。上記の3店を回って、イタリアにちなんだピザマークのスタンプを3つ集めると、3店の食料品フロアなどで使える200円の金券(来店粗品に相当)がもらえる。金券はすぐに利用できる。

 東急百貨店MD企画部デジタルメディア部デジタルマーケティング担当の須崎直哉課長は「今後は3店周遊のスタンプラリー企画を活発にしていきたい狙いがある。ただし渋谷の人混みをかき分けて3店を回っていただくには、ある種の“楽しみ”が必要だろう」と話す(写真3)。初試みの今回は、スマホ連動のスタンプラリーシステムがトラブルなく機能するかどうかを検証する意味合いが大きい。初日の午前中だけで、5人がスタンプラリーを完了して金券を獲得した。

 システムを提供するレオニスの伊藤圭史共同代表は「スマホの画面に押すだけという分かりやすさが評価され、東急百貨店以外にも数多くの引き合いをいただいている」と明かす。スマホと専用スタンプを組み合わせたスタンプラリーは店員や顧客への説明が最小限で済むため、現場になじみやすいという。さらに「スマホアプリのダウンロード促進につながる効果も期待できる」(伊藤共同代表)。

 スタンプラリーの参加者がいつ、どの店舗のスタンプを押したのかは、全てデータで管理できている。そのため、顧客の渋谷での行動を把握しやすくなる。東急百貨店は今後は店舗間の周遊促進に加えて、同一店舗内のフロア間の回遊促進にも同様のスタンプラリーが使えると見て、導入を検討しているという。