米IBMと米ツイッターは2014年10月29日(米国時間)、ビジネス向けデータ分析の分野で提携すると発表した(写真1)。IBMが米ラスベガスで開催中のイベント「IBM Insight 2014」のジェネラル・セッションで明らかにした。
両社は共同で、世界中でつぶやかれたツイート情報を分析、活用する業務アプリケーションを、銀行、消費財、小売り、旅行、輸送といった各業界に向けて開発する。合わせて、約1万人のIBM社内コンサルタントに研修を施し、顧客にTwitterデータ活用のアドバイスを行えるようにする。
「これまで企業はTwitterのデータを何とか収集、分析しようとしてきたが、精度が低かった。つぶやきデータと(IBMが持つ)複数のデータを組み合わせて深く分析することで、ビジネスの意思決定の手法は一変するだろう」。IBMのジニー・ロメッティCEO(最高経営責任者)は同セッションにビデオ出演し、提携の意義を語った(写真2)。ロメッティCEO自らツイッターの経営陣と会い、提携をとりまとめたという。2014年7月に発表した米アップルとの提携(関連記事:AppleとIBMが企業分野で広範な提携、iOSアプリの共同開発など)、10月22日に発表した米マイクロソフトとの提携(関連記事:IBMとMicrosoft、企業向けクラウドの広範な提供に向け提携)に続く、IBMのオープン化戦略の一環といえる。
米ツイッターのCEOも同じくビデオ出演し、「Twitterのビジネス応用は、現時点ではまだ表面をかじっているような段階。ビジネス向けデータ分析でユニークな能力を持つIBMと組み、例えば質問応答システム『Watson』とTwitterデータを組み合わせたアプリケーションを共同で開発したい」と語った(写真3)。
取り組みの第一弾として、世界中のつぶやき情報を、IBMのデータ分析クラウド「Watson Analytics」や、アプリケーション開発プラットフォーム「Bluemix」「Watson Developer Cloud」、マーケティングツール「ExperienceOne」などで使えるようにする(写真4~6)。顧客の感情や行動、市場トレンドの分析に加え、需要予測や在庫管理などのサプライチェーン管理にも活用する考えだ。