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写真●バイスプレジデント兼ガートナー・フェローのジャッキー・フェン氏
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図1●20年前に描かれた最初のハイプ・サイクル
出所:ガートナー
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図2●「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2014年」
出所:ガートナー
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 米ガートナーの「ハイプ・サイクル」が考案されて20周年を迎えた。ハイプ・サイクルは、IT関連の様々な技術に関して技術の成熟度やビジネスへの貢献度、今後の方向性などを分析するツール。このハイプ・サイクルの考案者であるバイスプレジデント兼ガートナー・フェローのジャッキー・フェン氏が来日し、過去20年の経験を踏まえ技術動向分析のポイントを解説した(写真)。

 新たに登場した技術は当初、その期待度が急速に高まった後、幻滅の時期を迎えて期待度が急速に下がり、技術の成熟が進むにつれて安定的に普及が進むようになる。ハイプ・サイクルでは各技術が、時系列に期待度の変化を描いた曲線上のどの点にあるかを示すことで、各技術の今後の期待度や普及度合いなどを読み解くことができる(図1図2)。

 フェン氏は20年前に最初に作成したハイプ・サイクルを示し(図1)、「バーチャル・リアリティや音声認識など20年経っても成熟が進まない技術もあれば、短期間で成熟する技術もある」と指摘。その要因として性能向上の優劣、技術を取り巻く環境の違い、ユーザーの受け入れ度合いの差、技術に対する投資回収の可能性の4つを指摘した。

 さらにフェン氏は、技術を予測する上での他のポイントとして、技術は徐々に進歩するのではなく、何かのタイミングで飛び飛びに進歩することや、一つの技術の成熟が進むに従って複数の技術に分化すること、ある技術がユーザーの強い関心を引いても、その関心が容易には持続しないことを挙げた。

 技術によっては、過度な期待の高まりの後に急速に期待度が下がり、そのまま消えていく技術もある。それについてフェン氏は「ハイプ・サイクルの最後まで到達することが見込める技術を選んでいる。従ってハイプ・サイクルに乗った技術で、途中で消えるものはごくわずか」とした。つまり、ハイプ・サイクルに乗せた技術については、その将来性に一定のお墨付きを与えた形だ。

 2014年版のハイプ・サイクルでは、新たに「デジタル・ワークプレース」「コネクテッド・ホーム」「エンタプライズ・モバイル・セキュリティ」「3Dプリンティング」「スマート・マシン」などを追加した。ガートナーは2014年10月28日から30日まで東京・台場で「Gartner Sympsoium/ITxpo 2014」を開催している。このイベントに合わせて、フェン氏が来日するとともに、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2014年」も発表した。