米連邦取引委員会(FTC)は現地時間2014年10月28日、スマートフォン向けデータ通信サービスにおいてユーザーの誤解を招いたとして、米AT&Tのモバイル事業AT&T Mobilityを提訴したことを明らかにした。FTCは同社がユーザーへの適切な説明を怠り、FTCの定める規定(FTC Act)に違反したとしている。

 FTCによると、AT&Tは「無制限」とうたっているデータプランで、一定のデータ使用量に達すると通信速度を落とす措置を取ることを明確にユーザーに伝えずに減速を実施していた。一部のケースでは90%も速度が落ち、データ通信がほとんど行えない状態になった。影響を受けたユーザーは350万人以上に上るという。

 AT&Tの販促物では、同プランに契約すればデータ量無制限で利用できるかのように強調し、無制限データプランを更新したユーザーに対しても減速措置について適切な情報を与えなかったと、FTCは指摘。さらに、減速を経験したユーザーが解約する際には途中解約金が課された。

 これを受けAT&Tは同日声明を発表し、「FTCの訴えは事実無根」と反論。同社は「無制限データプランのユーザーに対して情報を完全に透明化しており、ネットワークリソースを管理するプログラムを実施する際には前もって告知している」と主張した。また、ネットワーク管理プログラムにより影響を受けたユーザーはわずか3%程度だとしている。

[発表資料(FTCのプレスリリース)]
[発表資料(AT&Tのプレスリリース)]