欧州SAPがスポーツ向けのソリューションに本腰を入れている。2014年6~7月に開催された2014 FIFA World Cupでは、優勝したドイツチームと共同開発したデータ分析ソリューションがパフォーマンス改善に寄与したことが話題となった。10月にはシンガポールで開催された女子テニスのWTAツアー選手権(WTA Finals)で、SAPがWTA(女子テニス協会)と共同開発した試合データソリューションが使われた。

 なぜ、いまスポーツなのか。SAPのグローバルスポンサーシップ担当バイスプレジデント、Chris Burton氏がWTAツアー選手権に合わせて開いたメディア向けイベントで、スポーツ界でのデータの取り組みの現状やSAPの狙いを語った。

SAPのChris Burton氏
SAPのChris Burton氏
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 SAPが25番目の業界としてスポーツに参入したのは、2013年のことだ。現在、「スポーツ、メデイア、エンターテインメント」として、スポーツチームや団体、メディア・エンタメ企業との協業を進めている。

 業界として設定してスポーツ分野に参入する理由についてBurton氏は、「SAPが提唱する“Run Simple(シンプルにビジネスを動かす)”を適用できる」「世界をより良いものにするというミッションに当てはまる」「BtoB(Business to Business)ブランドから、BtoP(Business to People)への拡大」の3つを挙げた。

 もちろん、その背景にはビックデータトレンドがある。カメラやセンサーなどデータを収集できるデバイスが増えており、SAPは高速な処理を実現するインメモリーデータベース「HANA」を持つ。スポーツは顧客企業にHANAを売り込むにあたって、分かりやすい事例となる。