写真●米ガートナーのシニア バイス プレジデント兼リサーチ部門最高責任者であるピーター・ソンダーガード氏
写真●米ガートナーのシニア バイス プレジデント兼リサーチ部門最高責任者であるピーター・ソンダーガード氏
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 ガートナー ジャパンは2014年10月28日から30日まで東京都内のホテルで開催中のシンポジウム「Gartner Symposium/ITxpo 2014」を開催している。米ガートナーのシニア バイス プレジデント兼リサーチ部門最高責任者であるピーター・ソンダーガード氏(写真)は10月28日、IT分野のメディア向けに記者会見を開いた。

 ソンダーガード氏は、「デジタル・ビジネスをドライブする世界の潮流と日本企業に向けた提言」と題して、経営者やCIO(最高情報責任者)、IT部門のマネジャーらに向けた提言をした。「テクノロジー・スタートアップ」というキーワードを強調。「企業のIT部門だけではなく、人事や物流、生産などすべての事業部門はテクノロジー・スタートアップになると考えるべきだ」と語った。

 テクノロジー・スタートアップとは、立ち上げたばかりのベンチャー企業(スタートアップ)のように、事業部門がIT部門を通さずに独自、かつ迅速にクラウドサービスやアプリケーションソフトウエアなどのテクノロジーを調達・活用することを指す。具体的にはテクノロジーに関する費用の支出に表れるという。

 ガートナーの調べによると、企業におけるテクノロジーに関する費用のうち、全体の38%がIT部門以外の事業部門から支出されている。現状では、IT部門がテクノロジーに関する予算の過半数を握っているというわけだ。ところが、2017年には50%以上がIT部門以外から支出されると予測している。

 ソンダーガード氏は、「営業部門ならデジタルマーケティング戦略を推進するためにテクノロジーを活用しようとする。自動車メーカーの設計部門は表面的には“システムエンジニア”を抱えているわけではないが、現実には車載コンピュータのソフトウエアに関する費用が大きい」と例示。あらゆる業界のあらゆる部門がテクノロジーに対する支出を増やすことになると述べた。

 こうした状況で、IT予算のあり方も変わらざるを得ないことを指摘した。「従来の企業は、ITインフラの構築と維持に多くの人員を配置してきた。今後は、データサイエンティストやユーザーインタフェース設計者など、顧客に近いテクノロジーに人員をより多く振り分けるべきだ」とソンダーガード氏は提言した。