2014年10月14日に企業向けMVNO(仮想移動体通信事業者)事業に本格参入すると発表したパナソニック。今後、同社の業務用モバイル機器や業務用冷蔵庫、映像機器などの製品群に、広域の無線ネットワーク機能を順次内蔵していく計画だ(写真1)。
総合電気メーカー自らが本格的な設備を持ってMVNO事業を展開することについて、パナソニックAVCネットワークス社の宮和行 技術本部モバイルネットワーク事業推進室事業企画チーム チームリーダーは、「これから訪れるIoT(Internet of Things)の時代に向けて、パナソニックが回線サービスを含めて提供することが、様々なユーザーの利便性に貢献できる」と語る。
宮チームリーダーは、パナソニックの業務用機器を利用するユーザーはIoT時代に二つの課題に直面する、と指摘する。一つは「多様な機器ごとに最適な回線サービスが選択できない」という点、もう一つは「機器と、回線・サービスをセットで調達できない」という点だ(写真2)。
前者の課題は、「携帯電話事業者の回線サービスはスマートフォンやタブレット向けを対象としており、IoT向けには間尺が合わない。通信速度や利用時間、通信容量はもっと多様な選択肢を用意できてよいのではないか」(宮チームリーダー)という点である。
後者の課題は、機器をパナソニックから買い、回線は別に契約となると、管理に手間がかかるほか、不具合の切り分けにも時間がかかることを指す。「まさかパナソニックの業務用冷蔵庫をキャリアショップで売るわけにもいかない」という冗談が、同社社内では交わされているという。