米Amazon.comが現地時間2014年10月23日に発表した同年第3四半期(2014年7~9月)の決算は、売上高が大きく伸びたものの、市場予想を上回る赤字となった。

 売上高は205億7900万ドルで前年同期から20%増加した。しかし純損失は4億3700万ドル(希薄化後1株当たり損失は0.95ドル)、営業損失は5億4400万ドルとなり、それぞれ前年同期の4100万ドル(希薄化後1株当たり損失は0.09ドル)と2500万ドルから大幅に赤字幅を拡大した。

 事業別の売上高は、書籍や音楽/映像メディアなどを扱うメディア部門が52億4400万ドルで、前年同期比4%増。家電・日用品部門は139億5300万ドルで同26%増加した。Amazon Web Services(AWS)や広告事業などの「その他」部門は13億8200万ドルで同37%成長した。

 地域別の売上高を見ると、北米が128億6700万ドルで前年同期比25%増加。海外部門は77億1200万ドルで同14%増加した。

 営業経費は211億2300万ドルと、前年同期から40億ドル以上拡大した。売上原価、物流、マーケティング、技術基盤とコンテンツ、一般管理費のいずれも増加している。

 同社は7月に独自スマートフォン「Fire」をリリースしたが売れ行きは思わしくなく、9月には値下げを発表した(関連記事:Amazon.com、独自スマホのFire を「1ドル」に値下げ、199ドルから)。そのほかストリーミングコンテンツの制作や、小型無人飛行機(ドローン)による配送システムの開発にも取り組み(関連記事:Amazon.com、ドローン配送システムの屋外テスト許可をFAAに申請)、さらに米ニューヨーク市マンハッタンに実店舗をオープンする計画とも伝えられている(関連記事:Amazon.comがマンハッタンに初の実店舗を出店か)。

 今後の見通しについては、2014年第4四半期(2014年10~12月)の売上高が前年同期比7%増~18%増の273億~303億ドルの範囲になると予測している。営業損益は、5億7000万ドルの赤字~4億3000万ドルの黒字を見込む。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、アナリストらは第3四半期の売上高を208億ドル、1株当たり損失を0.74ドルと予測していた。また、第4四半期の売上高見通しを309億ドルと予想していた。

 Amazon.comの決算発表を受け、同社株価は同日の時間外取引で約11%下落した。

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