佐賀県武雄市、ディー・エヌ・エー(DeNA)、東洋大学の三者は、武雄市内の小学校1校で、1年生を対象としたプログラミング教育を行うことで合意、その第1回の授業を2014年10月20日に実施した(写真1)。2015年2月までにかけて計8回実施し、学習意欲など児童の反応などを調べる。

写真1●佐賀県武雄市立山内西小学校で始まったプログラミング教育
写真1●佐賀県武雄市立山内西小学校で始まったプログラミング教育
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 プログラミング教育を行うのは武雄市立山内西小学校の1年生40人(写真2)。同校を含めた市内の全小学生に学習用として貸与されているAndroidタブレットに、DeNAが開発したプログラミングアプリをインストール。アプリの上でキャラクターを表示させ、そのキャラクターに指定した動作を行わせることなどを通じて、プログラミングを体験させる。講師は全8回を通してDeNA担当者が務め、東洋大学が企画全体をコントロールする。プログラミングの授業は、通常授業終了後、7時間目の課外授業として行われる。

写真2●佐賀県西部の武雄市立山内西小学校
写真2●佐賀県西部の武雄市立山内西小学校
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 10月20日の第1回の授業は、報道関係者などに公開された(写真3)。児童がタブレットの画面にキャラクターを呼び出し、「おねがいブロック」と称するコマンドのボタンに書かれた動作をさせた(写真4)。個々のおねがいブロックには「←にあるく」「ジャンプする」「おおきくなる」などの動作が書かれている。一つひとつのボタンで動作させるだけでなく、ボタンを連結させることで複数の動作を順番に行えることを体験し、プログラムが一連の動作を自動化するものであることを学んだ。

写真3●第1回の授業は「ぷろぐらみんぐをしろう」が目的
写真3●第1回の授業は「ぷろぐらみんぐをしろう」が目的
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写真4●タブレット端末と、そこに搭載されたアプリ
写真4●タブレット端末と、そこに搭載されたアプリ
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 授業後の記者会見で武雄市の樋渡啓祐市長は「1年生の7時間目にもかかわらず、児童の注意力が持続したことに感心した。『次は自分でいろいろ動かしてみたい』という児童もおり、児童の自発性向上に役立ちそうだ」と話した(写真5)。またDeNAの南場智子取締役ファウンダーは、「1年生で行うことには賛否両論あったが、児童の吸収力が高く、また感動が大きい様子を見ると、やってよかったと思っている」と評価した。

写真5●「児童の注意力が持続したことに感心した」と話す樋渡啓祐武雄市長(中央)
写真5●「児童の注意力が持続したことに感心した」と話す樋渡啓祐武雄市長(中央)
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 今回の取り組みは「能力の変化を客観的に評価するのは難しい」(東洋大学経済学部総合政策学科教授の松原聡氏)ため、プログラミング教育の目的とされる論理的思考力などの面で効果検証は行わない方針という。一方で、算数など他の教科への関心の変化などを見極めていきたいという。