ソリトンシステムズは2014年10月21日、インターネットを介してファイルを安全にやりとりするためのファイル共有/転送アプライアンスサーバー機「FileZen」(写真)について、新たにサーバー仮想化ソフトのVMware ESXi上で稼働する仮想アプライアンス版の製品を用意したと発表した。製品名称は「FileZen Virtual Appliance FZ-ST81-V」で、11月7日に出荷する。

写真●FileZenの概要(出典:ソリトンシステムズ)
写真●FileZenの概要(出典:ソリトンシステムズ)
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 FileZenは、インターネット上でファイルを共有/転送するためのサーバー機能を提供する(関連記事:ソリトンがファイル受け渡し装置に新版、拠点のファイル登録を非同期で高速化)。使い方は二つある。(1)一つは、ネットワーク上でフォルダーを共有する「プロジェクト」である。社員間での情報共有に向いている。あらかじめログインユーザーごとにアクセス権限を設定しておくことで、特定部署だけが使えるフォルダーを運用できる。(2)もう一つの使い方は、ダウンロードURLやパスワードを個人あてにメールで通知する「めるあど便」である。

 FileZenを使うためのユーザーインタフェースは三つある。(1)Webブラウザーの画面、(2)Web API(HTTP POSTメソッド)、(3)Android/iOSアプリケーション、である。これらのユーザーインタフェースを介して、アプライアンスへのログイン/ログアウト処理や、ファイルのアップロード登録/ダウンロード取得といった操作ができる。

 今回、FileZenの提供形態を拡大し、新たに仮想アプライアンス版を用意した。標準で1000ユーザーまで、ライセンスの追加によって2000ユーザーまたは2万ユーザーで利用できる。ライセンス上は、ハードウエアアプライアンスの中規模モデル「FZ-ST81-A」(1000/2000ユーザー)と大規模モデル「FZ-DX51-A」(2万ユーザー)の両方をカバーする形になる。1000ユーザー時の価格(税別)は、ハードウエアアプライアンスのFZ-ST81-Aと同じ188万円とした。

ハードウエアアプライアンスでは分散構成も可能

 なお、2013年3月に販売を開始した現行版「FileZen V3.0」からは、親機と子機からなるスター型の分散アーキテクチャーをとれるようにしている。ただし、この使い方は、ハードウエアアプライアンスの大規模モデルであるFZ-DX51-Aと、専用子機の「FZ-SX04-A」の組み合わせに限る。今回のFZ-ST81-Vは、ハードウエアアプライアンスの中規模モデルであるFZ-ST81-Aの仮想アプライアンス版に当たるので、分散構成の使い方はできない。

 分散構成では、複数の拠点に子機を分散配置する。拠点のユーザーは、WAN経由でデータセンターのFZ-SX04-Aに直接アクセスすることなく、拠点LAN上にある子機にファイルをアップロードするだけで、アップロード処理を終えられる。子機から親機に対しては、非同期でデータを転送する。この仕組みによって、WANの帯域が狭くても使い勝手を損なわずに済む。