写真1●「第25回全国高等専門学校プログラミングコンテスト」の様子
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写真2●競技部門の決勝戦
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写真3●作品発表も審査対象の1つ
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写真4●香川高専詫間キャンパスの「すくえあ」
写真4●香川高専詫間キャンパスの「すくえあ」
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写真5●企業賞の受賞者
写真5●企業賞の受賞者
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 2014年10月18日と19日の両日、「全国高等専門学校プログラミングコンテスト」(通称プロコン)が、岩手県一関市で開催された(写真1)。同コンテストの開催は、今回が25回目となる。過去には、第22回の最優秀賞作品が米マイクロソフト主催のコンテストImagine Cup2012で入賞した実績がある。

 同コンテストは、競技部門、課題部門、自由部門で構成される。競技部門は、与えられた課題に対して、上位チームが次の試合に進むという勝ち抜け形式で行われる(写真2)。今年の課題は、1枚の原画像を同サイズに切り分け、その断片画像をバラバラに並べたものを問題画像とし、問題画像から元の画像に並べ替えるというパズルゲームである。操作回数の少なさや復元の時間が評価基準になる。

 課題部門は、「防災・減災対策と復興支援」がテーマ。開催地の岩手県が、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けたことや、このところ自然災害による被害が相次いでいることから、同テーマが選ばれた。過去には2011年のプロコンが一関市で開催される予定だったが、東日本大震災の発生のため、急きょ京都府舞鶴市で開催することになった経緯もある。全応募作品は56作品で、そのうち21作品が選抜された。

 自由部門は、文字通り応募者が自由なテーマ設定で開発したプログラムが対象になる。全応募作品は56作品で、そのうち20作品が本大会に進んだ。自由部門と課題部門については、作品の発表に加え、実動作の展示、操作方法を記したマニュアルが審査の対象となる(写真3)。こうした複合的な指標を設けることで、将来的な商品開発やプロモーションに役立てることを狙った。

 競技部門では、大阪府立大学高等専門学校(大阪府大高専)が優勝した。準優勝は沖縄、第3位は沼津。特別賞はサレジオ、久留米、松江の3高専が受賞した。

 課題部門の最優秀賞は、高知高専が獲得した。作品タイトルは「つながっタワー」。通信事業者が提供するモバイル通信が災害時に利用できない状態でも、「津波避難タワー」間の通信を確保するシステムである。津波避難タワーは、南海トラフによる津波を想定した高層建築で、2015年までに100基の建設が予定されている。

 優秀賞は弓削商船の「光陰如箭」、特別賞は明石の「Man-Hold」、鈴鹿の「Relief Supplies Relay」、弓削商船の「i-BadgeoverしまNET」、鳥羽商船の「人(ヒート)マップ」が獲得した。

 自由部門は、香川高専詫間キャンパスが優勝した。作品タイトルは「すくえあ」(SCREEN feels AIR.)。風を情報の入力源とした、コンピュータとのインタラクションを楽しむ表示装置である(写真4)。同作品の中核となるのが風圧計測デバイスで、磁石を取り付けたフィルムとホール素子との距離によって変動する磁界強度を風圧として検知する。会場では、射的ゲームなどへの応用例などが紹介された。

 優秀賞は鳥羽商船の「はなまるフォーム」、特別賞は鈴鹿の「postKEY」、熊本高専八代キャンパスの「STEP APP!!」、弓削商船の「Code on the Tablet」、東京の「SNS炎上報知器」の4作品である。

 プロコンには、国際プログラミングコンテストの「NAPROCK International Programming Contest」第6回大会も同時開催されている。海外からの参加校や国内の大学も、同じテーマや競技に取り組んだ。競技部門のGrand Prizeは、高専卒業生による東京大学が獲得した。続いて大阪府大高専だった。海外から参加した成都東軟学院、モンゴル科学技術大学、ハノイ国家大学(ベトナム)、パトゥムワン工科大学(タイ)、ペトロナス工科大学(マレーシア)には特別賞が授与された。

 課題部門と自由部門は、プロコン最優秀賞と優秀賞の2校がそのまま受賞した。

 このほか、企業賞として、富士通が一関高専の「マプコXD」、ネクストウェアが明石高専の「Man-Hold」、さくらインターネットが福井高専の「WT」、東芝ソリューションが香川高専(詫間)の「すくえあ」、ブロードリーフが釧路高専の「Rapid House」、トヨタコミュニケーションシステムが東京高専の「SNS炎上検知器」をそれぞれ選出した(写真5)。