写真1●Zero Data Loss Recovery Applianceの外観
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写真2●米OracleのAndrew Mendelsohn(アンドリュー・メンデルソン)氏(データベースサーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデント)
写真2●米OracleのAndrew Mendelsohn(アンドリュー・メンデルソン)氏(データベースサーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデント)
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 日本オラクルは2014年10月21日、Oracle Databaseのトランザクションログ(REDOログ)をリアルタイムにバックアップするアプライアンスサーバー機「Zero Data Loss Recovery Appliance」(写真1)を発表、同日提供を開始した。REDOログをバックアップする手法によって直近のデータを保全できる。この一方で、データベースの複製とは異なり、待機系データベースを用意する必要がない分、コストを抑えられる。価格(税別)は3152万円から。

 Recovery Applianceは、特定の目的に特化してシステムを構成したエンジニアリングシステムの一つで、Oracle Databaseのデータをバックアップするための専用機である。1台のRecovery Applianceで、複数台のデータベースサーバーをリアルタイムにバックアップできる。データベースを複製するわけではないが、直近のデータを常時保持しておけるため、システム障害時には直前のデータを復元できる。データは標準のRMAN(Recovery Manager)の仕組みで取得するため、バックアップ対象のOracle Databaseにソフトウエアを追加でインストールする必要はない。

 バックアップの仕組みは、更新系のトランザクションが発生する度に、メモリー上にあるトランザクションログ(REDOログ)をRecovery Applianceに転送し、REDOログのまま保存するというもの。REDOログをバックアップするという手法によって、RPO(どの時点のデータまで戻せるか)に優れたバックアップがとれると同社はアピールする(写真2)。さらに、データの保全性も高まる。ストレージにデータを書き込む際にデータが破損した場合、ストレージのレプリケーションでは破損データをコピーしてしまうだけだが、REDOログそのものを残しておけばデータが守られる。

 Recovery Applianceは、コスト面でも優れる。REDOログのリアルタイム転送という手法そのものは珍しくなく、Oracle Databaseが備えるデータ保護機能「Active Data Guard」を使ってもREDOログをリアルタイムに転送できる。ただし、Active Data Guardの場合、本番系と待機系の2台のOracle Databaseサーバーをアクティブアクティブ構成で立ち上げてデータベースを複製する形になるため、コストがかかる。これに対してRecovery ApplianceはREDOログをバックアップするだけなのでコストを抑えられる。