写真1●パネルディスカッション「ウエアラブルデバイスで儲ける」の様子(写真=新関 雅士)
写真1●パネルディスカッション「ウエアラブルデバイスで儲ける」の様子(写真=新関 雅士)
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写真2●miramaの説明をするブリリアントサービスの杉本氏(写真=新関 雅士)
写真2●miramaの説明をするブリリアントサービスの杉本氏(写真=新関 雅士)
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写真3●Moff Bandを手に巻いて説明するMoffの髙萩氏(写真=新関 雅士)
写真3●Moff Bandを手に巻いて説明するMoffの髙萩氏(写真=新関 雅士)
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写真4●necomimiを装着して話をするneurowear projectの加賀谷氏(写真=新関 雅士)
写真4●necomimiを装着して話をするneurowear projectの加賀谷氏(写真=新関 雅士)
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 2014年10月17日まで東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2014」で10月16日、「ウエアラブルデバイスで儲ける」と題したパネルディスカッションを実施した(写真1)。ウエアラブルのビジネスを手掛けるパネリスト3人が登壇。それぞれが手掛ける製品、サービス、プロジェクトの最新情報と、ウエアラブルの注目どころなどを挙げて「儲かるビジネスモデル」を議論した。

 パネリストは、ブリリアントサービス代表取締役の杉本礼彦氏、Moff代表取締役の髙萩昭範氏、neurowear projectの加賀谷友典氏。日経BPイノベーションICT研究所主任研究員の菊池隆裕がモデレータをつとめた。

 前半は、パネリスト各氏が自社の取り組みをプレゼンした。ブリリアントサービスの杉本氏は、スマートグラス型のウエアラブル端末「mirama」を紹介。手でL字を作るジェスチャーで撮影できるといった使い方のイメージ(写真2)を伝え、ビデオを用いてファッションショーへ出展したときの様子を説明した。モバイル業界の展示会MWC(Mobile World Congress)への出展実績もあるという。

 杉本氏は、重量、速度、レスポンスを高めた量産モデルを2016年に作りたいと考えているとコメント。miramaがターゲットとしている業界として医療を挙げ、「医療の世界ではジェスチャーが便利。手で操作できないが、音声入力の際の音声は聞かれたくないことがあるからだ」と説明した。

 Moffの髙萩氏は、「手にしたものすべてをおもちゃに変える」がコンセプトの腕時計型端末「Moff Band」を紹介した(写真3)。パネル前日の10月15日に、一般販売を開始した。会場では、「動作の認識に加えて姿勢も認識している」と説明し、手を振ってドラムセットがあるかのように演奏するデモを披露。コンテンツは追加可能で、アプリのアップデートを通じて家族で楽しめるコンテンツを用意していきたいとした。

 「テクノロジーを意識せず、おもちゃやゲームの感覚で実はいろんなことができる、というのが可能になればいいと考えている」(髙萩氏)。杉本氏に将来の展開を聞かれ、「ソフトやデータ解析、データを基にした提案・サービスに移行していく」と回答。発展の方向として「ユーザー体験」「プラットフォーム」「データを活用した新しい展開」の3点を挙げた。

 neurowear projectの加賀谷氏は、装着した人が集中すると耳が立ち、リラックスすると耳が寝るというデバイス「necomimi」を披露した(写真4)。脳波を用いたコミュニケーションを実現したもので、Amazonで4000円程度で購入可能。世界で7万~8万台が売れたという。

 また脳波計が付き、気分に合った音楽を再生するヘッドホンや、気になるものを自動録画するウエアラブルカメラなどを紹介。「ブレインコンピューターインタフェースを使う製品やプロジェクトはモノをコントロールしようとするものが多い。我々はそうではなく、周りのものが察して動いてくれるコミュニケートができないかと考えている」(加賀谷氏)。同氏は、TOKYO DESIGNERS WEEK2014(東京では10月25日~11月3日に開催)で、IoT関連の「モノのキモチがわかるモノ」を公開したいと予告した。

 パネルのテーマである「ウエアラブルで儲ける」に関して、加賀谷氏は、あらゆる場所にセンサーが入っていき、それらが相互接続されると、何らかのステータスのようなものを場が持つかもしれず、これを人間に接続する役割をウエアラブルが担うのではないかと指摘。「そこで使われるインタフェースは言語的ではなく、感覚的、そしてMoff Bandもそうだが身体的なものであるべきだ」と主張した。

 この意見に対して髙萩氏は、「ウエアラブルで身体的、感覚的で誰にでも分かりやすい体験ができることは、今までのモバイルやタブレットから置いていかれた人たちにとって有意義ではないか。また場面に関しても、重要になってくると思う」とコメントした。

 最後にパネリスト3氏が注目していることを挙げた。杉本氏は、電飾を付けてダンスをするビデオを流しながらLDHという企業を紹介。またエロがイノベーションのモチベーションになるとして、Vibeaseという企業をピックアップした。

 髙萩氏は注目のキーワードとしてコンテキスト認識を挙げ、「我々も、コンピュータが人間の行動を予測してくれる部分を意識していきたい。クラウドや機械学習、ディープラーニングに興味がある」と話した。加賀谷氏は、「現実にありえないような現実感を作りだすことがキーだ。自分はそれをハイパーリアリティと呼んでいる」とコメントした。