写真●ITpro EXPO 2014で講演するシスコシステムズ執行役員の俵雄一氏(撮影:後藤究)
写真●ITpro EXPO 2014で講演するシスコシステムズ執行役員の俵雄一氏(撮影:後藤究)
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 2014年10月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2014」の初日に行われた特別講演に登壇したシスコシステムズ データセンター / バーチャライゼーション事業担当 執行役員の俵雄一氏は、同社がこの5年前にITの世界に起こしたイノベーションを振り返りながら、2014年9月に発表したサーバー製品「Cisco Unified Computing System」(Cisco UCS)の新シリーズなどを紹介した(写真)。

 俵氏はまず、急増するIPトラフィックを例に挙げ、ITの世界に今まで以上の変革が訪れるだろうと語った。2014年6月に同社が発表した「VNI」(Visual Network Index)というレポートでは、今後5年でIPトラフィックは3倍になり、2018年には単年で1.8Z(ゼタ)バイトにまで膨らむと予想している。これは2013年までの27年間の総トラフィックである1.3Z(ゼタ)バイトを超える量である。

 しかも今後の「IoT」(Internet of Things)の接続状況によっては、さらにトラフィックは増える可能性があると同氏は指摘する。なぜならば、スマートフォンを含めたIoTのインターネットへの接続率はわずか1%に過ぎないからだという。今後さまざまな端末がインターネットに接続するようになれば、IPトラフィック量は爆発的に増加する。

 IPトラフィック量が爆発的に増えるとどうなるか。俵氏は、サーバーやデータセンターを構成する機器に、これまでとはまったく違う分析能力や処理能力が必要になるだろうと語る。「仮想と物理の世界をどう取り扱うかを含め、ITの世界は今まで以上の変革を迎えると予想している」(俵氏)。

イノベーションの源は積極的なR&D投資

 こうした変革を乗り越えるにはイノベーションが必要であるという。

 ここで同氏は、5年前に同社が「Cisco UCS」を発表した際に実現した3つのイノベーションを振り返った。発表当初は「すでにコモディティ化が進んだx86サーバーを、いまさらシスコが発表してどうなるのか」という懐疑的な声が聞かれたというが、(1) サービスプロファイル技術によってハードウエアの抽象化を実現したこと、(2) 「VIC」(Virtual Interface Card)によって柔軟なネットワーク構成変更を可能にしたこと、(3) Ethernet回線上に複数のプロトコルを流せる「FCoE」(Fibre Channel over Ethernet)に対応したこと――によってそれを覆した。