写真1●日経コンピュータ編集委員を務める木村岳史は、「このままではIT部門は“終活”が必要だ」と聴講者を挑発した
写真1●日経コンピュータ編集委員を務める木村岳史は、「このままではIT部門は“終活”が必要だ」と聴講者を挑発した
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年10月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催中の展示会「ITpro EXPO 2014」。初日午後には、ITproの人気コラム「極言暴論」の著者である木村岳史(写真1)がメインシアターに登壇し、「木村岳史の極言暴論ライブ」と題して講演を行った。

 日経コンピュータ編集委員を務める木村の同コラムは、IT業界とユーザー企業のIT部門の問題点を一刀両断することから、時に喝采を浴び、時に集中砲火を受ける。講演では、過去に注目されたコラム「IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒」や「日本だけ!「SIガラパゴス」に明日はあるか」の内容を基に、“暴論ライブ”が展開された。

 木村は、日本の「SIer」を頂点とするITサービス業のエコシステムを、「標準化・効率化といった世界動向に背を向け、独自に“進化”したSIガラパゴス」と指摘。そしてSIガラパゴスは、人月商売の多重下請けなどにより、技術者の成長を阻害していると主張する。

 「問題点を挙げればキリがない。例えば、労働集約型産業で知的集約型に脱皮できない。SIerを頂点とした明確な“格差社会”が存在している。膨大な数の技術者が、付加価値が低い領域に固定されているといったことだ。もし、技術者達が新しいサービスのシステム開発をしていれば、付加価値のある製品が生まれ、日本がIT産業のイニシアチブを握れるはずだ」(木村)

 また、人月商売の多重下請けの問題としては「IT産業に否定的なイメージをもたらし、情報工学を志す若者が減少する」「ユーザー企業の新規事業に資するシステムの開発が困難」「不況時期には安値受注に走り、失敗プロジェクトを産む」「好況になっても単価を十分に上げられない」といった点を列挙し、「これでは自らのビジネスで、ITを使ったイノベーションが生まれない。その結果、技術者は“茹でガエル”になってしまっている」と挑発した。