写真1●NTTドコモの中村寛執行役員R&D戦略部長
写真1●NTTドコモの中村寛執行役員R&D戦略部長
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写真2●ドコモが強調するマルチベンダー化のメリット
写真2●ドコモが強調するマルチベンダー化のメリット
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写真3●2014年9月に設立した「OPNFV」の取り組みも説明
写真3●2014年9月に設立した「OPNFV」の取り組みも説明
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 NTTドコモは2014年10月14日、同社が2015年度商用化を目指して取り組みを進める「NFV(Network Functions Virtualisation)」(関連記事:NFVが変える通信の未来)について、ベンダー6社によるマルチベンダー体制の実証実験に成功したと発表した。

 NFVとは、専用ハードウエアで実現していた通信事業者のネットワーク機能をソフトウエア化し、汎用の仮想化基盤上に集約する仕組みである。

 今回の実証実験に参加したベンダーは、仏アルカテル・ルーセント、米シスコシステムズ、スウェーデン・エリクソン、中国ファーウェイ、NEC、フィンランドのノキアソリューションズ&ネットワークスの6社。異なるベンダーでNFVの仮想化基盤とアプリケーションを用意し、マルチベンダー体制でLTEのパケットコアであるEPC(Evolved Packet Core)を構築した。

 実証実験では各ベンダーが用意するインタフェースが、期待した内容になっているかどうかを確認。さらに負荷が増した場合にスムーズにリソースが追加される点、ハードが故障時に予備のハードに自動的に復帰する点などをチェックした。このような技術検証の結果、「マルチベンダー体制でも十分動作することを確認した。2015年度に予定するNFVの商用化に向けて、2歩や3歩も前進した」とNTTドコモの中村寛執行役員R&D戦略部長(写真1)と語った。

 ドコモは2013年11月の時点で、アルカテル・ルーセント、シスコシステムズ、NECの3社とNFVの実証実験を実施している。ただこの実証実験では、仮想化基盤とアプリは単一ベンダーで構成しており、本格的なマルチベンダー体制の実証実験は今回が初めてとなる。「6社ものベンダーを組み合わせた実証実験は、業界最大規模ではないか」と中村部長は語る。

 ドコモがマルチベンダー体制にこだわるのは、「仮想化基盤とソフトウエアが単一ベンダーに限定されると、NFVのメリットが部分的になる」(中村部長)からだ。逆にマルチベンダー体制が確立できると、異なるベンダーのソフトウエア間でハードが共用可能になり、設備効率化のメリットを最大化できる(写真2)。

 このほか中村部長は、ETSI ISG NFVとも連携し、ドコモも参加する形で2014年9月に設立した、NFVの仮想化基盤と管理機能(インフラ部分)のオープンソースプロジェクト「OPNFV」の取り組みも説明した(写真3)。中村部長は、NFVが持つ耐障害性、信頼性向上、サービスの早期提供というメリットに加えて、「ネットワーク業界のエコシステムを変革する」点にも期待を寄せた。

[報道発表資料:世界主要ベンダー6社と「ネットワーク仮想化技術」の実用化に向けた実証実験に成功]