図1●発起人を代表して設立の趣旨を説明した慶応義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授の稲見昌彦氏
図1●発起人を代表して設立の趣旨を説明した慶応義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授の稲見昌彦氏
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図2●多様な分野の研究者や開発者が発起人として名を連ねた
図2●多様な分野の研究者や開発者が発起人として名を連ねた
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図3●超人スポーツの実現イメージ
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図4●超人スポーツの基盤となる技術
図4●超人スポーツの基盤となる技術
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図5●超人スポーツ委員会の活動のロードマップ
図5●超人スポーツ委員会の活動のロードマップ
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 前回の東京オリンピックが開幕したのは1964年10月10日のこと。それからちょうど50年後の2014年10月10日、技術とスポーツを融合させた新たなスポーツの創造を目指す「超人スポーツ委員会」が発足会を開いた。

 超人スポーツ委員会の発起人は、「超人スポーツ」の概念を提唱した慶応義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授の稲見昌彦氏など39人(図1)。VR(バーチャルリアリティー)、ロボティクス、ウエアラブルコンピューティング、スポーツ科学、人工知能などの研究者や、メディアアーティストなどが名を連ねた(図2)。

 超人スポーツ委員会が目指すのは、人間の能力を補助・拡張する技術を活用し、人と機械が融合した「人機一体」の新しいスポーツを創造すること。ヘッドマウントディスプレイや小型電動ヘリ、パワーアシスト、センシングなどの技術を活用しながら、怪力や空中飛行、超動体視力といった超能力を本人の能力として扱えるようにし、それらを用いた安全で楽しいスポーツを生み出していく(図3図4)。スポーツ観戦やトレーニングを大きく変えることも狙う。

 委員会は2回目の東京オリンピックが開催される2020年に、超人スポーツを中心としたスポーツイベントを開催することを当面の目標とする。プロとアマチュア、運動が得意な人と苦手な人、健常者と障がい者、老若男女などの垣根を取り払い、誰もがプレーや観戦を楽しめるイベントにすることを目指す。そのために、2016年10月にスイスでの開催が予定されているパラリンピック選手のための競技会「Cybathlon」や、装着型デバイスをスポーツに採り入れようとしている2018年の福井国体などと密に協力していくという(図5)。

 資金や運営体制など、委員会の具体的な運営スキームは未定。「アカデミズムの人たちを中心に、まずは組織を発足させた段階。これから産業界、政府や自治体、海外の関係機関などに声をかけながら具体的な運営方法を決めていく」(慶応義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授の中村伊知哉氏)。