米Appleは、画面サイズの大きな「iPad」の量産開始時期を来年初めに先送りしたと、米Wall Street Journalが現地時間2014年10月9日に報じた。計画を変更した理由は、iPhone 6シリーズの生産を優先するためだという。

 Wall Street Journalによると、Apple製品の製造を請け負うサプライヤーは当初、12月に大型iPadの量産を開始する予定だった。しかしサプライヤーの今の最優先事項は、iPhone 6 Plusの需要増への対応。同モデルの生産量は依然十分な水準に達していないという。同紙によると、サプライヤーの関係者は「ディスプレイメーカーの生産能力を二つに分離し、新たな大型iPadの生産量を増やすことは困難」と話しているという。

 また、iPhoneやiPadの組み立てを請け負う、台湾Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)傘下の中国Foxconn Technology(富士康科技)も新型iPhoneの対応に追われているという。中国・鄭州にある同社最大の工場には、iPhone 6、同6 Plusを専門に担当する20万人以上の工員がおり、組み立てやメタルケースなど主要部品の製造を行っている。だがそれでも工員数は足りず、同社は新たな人員の確保に苦慮している。Hon HaiのTerry Gou(郭台銘)会長も工場を訪れ、生産状況を日々注意深く監視しているとWall Street Journalは伝えている。

 Appleが市場投入を予定しているとされる大型iPadについては、米Bloombergが法人向けの12.9インチモデルが登場する見通しと伝えていた。またAppleは先ごろ、10月16日に開催するイベントの招待状をメディア関係者に送ったと伝えられた。このイベントでは、9.7インチiPadの第6世代モデルや、一体型パソコン「iMac」の新モデルなどが発表されるとの観測が出ている(関連記事:Appleが10月16日イベント開催、新iPadや新iMacを発表か)。

 なおWall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、Appleがノートパソコン「MacBook Air」の12インチモデルの量産準備を進めているとも伝えている。MacBook Airの現行モデルのディスプレイサイズは11インチと13インチ。また「MacBook Pro」は13インチと15インチ。この情報が正しければ、同社のノートパソコンシリーズに新たなサイズが加わることになる。