メッセンジャーソフトを提供するLINE(東京都渋谷区)は2014年10月9日、事業戦略発表会「LINE CONFERENCE TOKYO 2014」を開催した。LINE事業を「ライフ」「エンターテインメント」という2つのプラットフォームの側面から新サービスやコンテンツを投入し、LINEの利用者や収益の拡大につなげていく計画を明らかにした。

 LINEは今年9月、年内の上場はしない方針であることを明らかにしている。「時期は未定だがまずは収益を安定させる」(LINE代表取締役社長CEOの森川亮氏)ことを優先し、収益の多角化を進める方針だ(写真)。

写真●新戦略を打ち出すLINE森川亮代表取締役社長CEO(最高経営責任者)
写真●新戦略を打ち出すLINE森川亮代表取締役社長CEO(最高経営責任者)
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 LINEの生活基盤への浸透を目指すライフプラットフォーム分野では、地図サービス、決済サービス、および決済シーンを作り出す宅配事業やタクシー配車サービスなどを発表した。LINEはまず、今年の冬をめどに決済サービス「LINE Pay」を開始する。

 LINEとクレジットカード情報をひも付け、商品購入時の支払いや個人間で送金可能にする。送金時にスタンプとメッセージを添えたり、割り勘機能をつけたりといったほかの個人間送金サービスとは異なり、LINE色の強い仕様になるもよう。「決済手数料は業界最安値にする予定」(LINE代表取締役COOの出澤剛氏)という。実現に当たって、LINEはみずほ銀行と三井住友銀行と提携。今後は実店舗でもLINE Payを利用できるようにする。海外ではクレジットカードとの連携機能のみ先に開始し、順次機能を拡充していく考え。

 LINEはこのLINE Payと連携するサービスを今後、提携やジョイントベンチャーなどの形態で次々と投入していく。まず、韓国のWOOWA BROTHERSと合弁でLINE Brosを設立したことを明らかにした。今秋にも東京・渋谷区で宅配サービス「LINE WOW」を開始する。当初は食事の配達から開始するが、受注から配達までの仕組みを整えた後、あらゆる商材を配達できる物流ネットワークにしていきたい考え。LINEはECモール「LINEモール」を運営しており、こうした配達にも利用を広げていく可能性がある。