アクシオは2014年10月6日、物理デスクトップ機としてHP Moonshot Systemを使ったリモートデスクトップ環境を安価に導入/運用するための製品サービス群「AES for Moonshot HDI」を発表した。リモートデスクトップの仕組みとしてXenDesktopよりも安価なRDPを使いながら、デスクトップイメージの配信や障害時の切り替えといった機能を利用できるようにする。これらの工夫によって、HP Moonshot Systemの導入費用を最大で3分の1削減するとしている。2014年11月から販売する。

 前提となるHP Moonshot Systemとは、互いに独立したサーバー機群を高密度で集積したサーバーシステムである。ブレードサーバーの高密度版に当たり、高さ4.3Uの専用シャーシに専用のカートリッジ型サーバー機を45枚収容する。2014年1月からは、グラフィックス処理機能を搭載してデスクトップパソコンとして使うことを想定したカートリッジ型サーバー機「HP ProLiant m700サーバー」を販売している。カートリッジ型サーバー1台が4台の物理デスクトップ機になる(関連記事:日本HP、4.3Uに物理デスクトップ180台を収容した高集積サーバーを発表)。

 HP Moonshot System(HP ProLiant m700)を使う場合、利用するリモートデスクトップソフトの違いに応じて、大きくCitrix XenDesktop構成とRDP構成の2種類に分かれる。XenDesktop構成の場合、RDP構成よりも高価になるが、コネクションブローカー機能を備えており、個々のデスクトップ機へのOSイメージの配信や、障害発生時のデスクトップ機の切り替えなどができる。一方、RDP構成の場合、そのままではXenDesktopのような運用機能を利用できない。

 これに対して、今回アクシオが発表したAES for Moonshot HDIは、RDP構成のHP ProLiant m700を使って費用を抑えつつ、XenDesktop構成のような運用機能を利用できるようにする製品サービス群である。こうした工夫によって、XenDesktop構成のHP ProLiant m700を推奨構成で導入するケースと比べて、最大で3分の1の費用を削減できるとしている。

RDP構成に足りない障害対応とイメージ配信を補完

 AES for Moonshot HDIは、以下の五つの製品サービスで構成する。

 (1)「AES Node Manager」は、デスクトップ機に障害が発生した場合に、管理者が1クリックするだけで保守用のノードに切り替えられるようにする運用管理ソフトである。HP Moonshot SystemとDell Wyse製のシンクライアント端末(ThinOS搭載機)の組み合わせで利用できる。RDP構成のHP Moonshot Systemが備えないコネクションブローカーの代替となる。

 (2)「AESイメージ展開サービス」は、HP Moonshot Systemの導入時に、Windows展開サービスを使って各ノードにイメージを配信するスポットサービスである。RDP構成のHP Moonshot Systemが備えないイメージ配信機能の代替となる。これにより、Windows展開サービスに慣れていないユーザーであっても容易にMoonshot Systemを導入できるようになる。

 (3)「AESイメージ展開リモートサービス」と(4)「AESイメージ配布リモートサービス」の二つは、契約型の運用サービスであり、デスクトップ機へのOSイメージの配信が必要になったタイミングで、これをリモートで実施する。(3)のイメージ展開は、OSのバージョンアップなどを契機に展開用のイメージを作成して配信するサービスであり、(4)のイメージ配布は、デスクトップ機に障害が発生した際などに、各ノードにイメージを配信するサービスである。いずれも、RDP構成のHP Moonshot Systemが備えないイメージ配信機能の代替となり、Windows展開サービス(WDS)を利用して配信する。

 (5)「AESカートリッジバルク販売」は、本来であれば15台単位で購入するHP ProLiant m700のカートリッジ型サーバー機を、1台単位で販売するサービスである。容量64GバイトのSSDを搭載したカートリッジ型サーバー機1台を37万2000円で販売する。これにより、例えば16台のカートリッジ型サーバーが必要なケースにおいて、30台ではなく16台だけ買えばよくなる。