伊藤園は2014年10月5日、「新しいお茶体験」の創出をテーマにしたハッカソン(ハックとマラソンを組み合わせた造語)、「茶ッカソン in Tokyo」を開催した。IT企業から約40人のエンジニアやデザイナー、ビジネス開発担当者などが集まり、ITを使ってお茶の体験を広げるアイデアを競い合った。

 同イベントにはニフティやパソナテック(東京都千代田区)といった大企業から、スマートフォン向けアプリ開発を手がけるFuller(千葉県柏市)やヘルスケアアプリを提供するFiNC(東京都中央区)といったスタートアップ企業まで10社が参加した。全8チームに分かれ、1時間30分という限られた時間内で各チームがアイデアをまとめ、プレゼンした(写真1)。

写真1●「新しいお茶体験」をテーマにIT企業のエンジニアやデザイナーなどが短時間でアイデアを絞り出す
写真1●「新しいお茶体験」をテーマにIT企業のエンジニアやデザイナーなどが短時間でアイデアを絞り出す
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 多くのチームは「お茶」というテーマから、消費者同士をマッチングさせるサービスを提案。例えば、ニフティは不特定多数の3人が「お茶受け」を持ち寄って一期一会のお茶会を開催できる「おーい お茶っと」のアイデアを発表した。

 変わったアイデアとしては、科学メディア運営などを手がけるLeave a Nest(東京都新宿区)が提案した、小学生がお茶の栽培に関わるICT教育。土壌の温度や湿度などを計測できるセンサーとスマートフォンアプリを連動させ、小学生が自身でお茶を栽培できる環境を提供する案をまとめた。また、グローバルに同様な環境を整えることで、お茶の栽培を通じて収集したデータを基に世界中のお茶の最適な栽培条件などを明らかにしていくアイデアを披露した。

 伊藤園は今年5月に米シリコンバレーで「Chackathon」を開催。今回、日本での開催は初となる。同イベントを企画した伊藤園マーケティング本部広告宣伝部の角野賢一氏は今回の茶ッカソンについて、「キャンペーンなどで使えるアイデアも複数あった。今後、2~3カ月に1度、継続的に開催していきたい」と語った。

 角野氏はシリコンバレーのIT企業で広がる健康志向を背景に、グーグルやフェイスブック、ヤフー、ツイッター、エバーノートなど大手IT企業のカフェテリアを次々と開拓して同社の主力製品「お~いお茶」を浸透させた実績を持つ。伊藤園は今後、日本においても茶ッカソンなどのイベントなどを通じてエンジニアとの接点を増やし、新たな顧客開拓とブランディングを進めていきたい考えだ。