欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、アイルランドが米Appleに適用している税制が欧州の法規に違反しているとの見解を明らかにしたと、複数の米メディア(Wall Street JournalForbesNew York Timesなど)が現地時間2014年9月30日に報じた。最終的に違法と判断された場合、Appleは数十億ユーロにのぼる罰金を科される可能性がある。

 ECは今年6月にアイルランドにおけるAppleの税務処理について調査に乗り出し、その際アイルランド当局に提出した調査開始を通告する書類(PDF文書)を今回公開した。

 Appleはアイルランドのコークに2つの傘下法人Apple Operations Europe(AOE)とApple Sales International(ASI)を置き、約4000人の従業員を雇用している。AOEとASIは欧州、中東、アフリカのApple子会社向けのパソコン製造とサービス提供、委託製造業者からの製品調達と海外拠点への販売を手がけているかたちとなっている。

 アイルランドの法人税率は12.5%でフランスなどの約3分の1とかなり低いが、ECによれば、Appleはさらに違法な優遇措置により実質的に2%しか納税していない。ECは、アイルランド当局が1991年と2007年にAppleと結んだ合意は「(EUで禁じられている)国家の補助にあたる」との暫定的な判断を示している。

 これに対しAppleの広報担当者は、「当社はアイルランドの他の無数の企業と同じ税法に従っている」とコメント。アイルランド政府も「保護政策規則になんら違反していない」と述べている。

 Appleの税務処理を巡っては、2013年5月にTim Cook最高経営責任者(CEO)が米上院の公聴会において「課税回避を行っていない」と証言。「当社は米国経済に貢献している」と強調した(関連記事:AppleのCook CEOが上院公聴会で証言、課税回避の疑いを否定)。