写真1●メガソーラーのパネルを空中から点検する飛行ロボット
写真1●メガソーラーのパネルを空中から点検する飛行ロボット
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写真2●パソコンで飛行経路を指定し、飛行ロボから無線で送られてくる空撮映像をモニターで確認
写真2●パソコンで飛行経路を指定し、飛行ロボから無線で送られてくる空撮映像をモニターで確認
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 ALSOK(綜合警備保障)は2014年9月26日、無人飛行ロボット(ドローン)を使ったメガソーラー発電施設におけるパネル点検を実演した(写真1)。10月1日からプレサービスを開始し、2015年4月にも正式サービスに移行する計画だ。4つのプロペラを持つ飛行ロボットに搭載したカメラで、太陽光発電パネルの異常個所を短時間で見つけ出す。

 飛行ロボによる空中からのパネル点検を実施したのは、茨城県行方市にある「JRE行方太陽光発電所」。ここは最大出力が約1メガワット(1000キロワット)と、メガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電所のなかでは最も小さなサイズになる。それでも約1万2000平方メートルの敷地に、3780枚のパネルが設置されている。ざっと縦横100メートルの長さがある敷地は、歩き回るのが一苦労なだけの広さだ。

 快晴のこの日、飛行ロボはあらかじめパソコンから指定した経路を自動飛行し、空撮画像を収集(写真2)。約7分で、1メガワットの発電施設のパネル点検を終えた。飛行ロボは可視カメラと熱赤外線カメラを搭載しており、空中から無線で映像を転送してくる。ALSOKの担当者は手元のモニターでライブ映像や録画を見て、「ホットスポット」と呼ばれるパネルの異常個所を確認した。

 パネルに異常箇所があると、パネルの映像には白っぽい丸い影ができる。この日は数カ所で見つかり、実際にその場に行ってみると、1カ所には鳥のふんらしきものがパネルに付着していた。その周囲を手で触ってみると、かなり熱い。まさにホットスポットになっている。放っておくと、発電効率が落ちる可能性がある。

 ALSOKによれば、飛行ロボを使うことで、2メガワットの発電施設の場合、約15分で点検を完了できる(今回の施設はその半分ほどの規模なので、約7分かかった)。同様の点検をハンディータイプの測定器(サーモカメラなど)を用いて人手で行うと、パネル1枚1枚を見て回るのに約4時間かかるという。日影もない広大な敷地内での手作業での点検を考えると、飛行ロボの効率性を実感できる。

 通常、ALSOKの担当者は2人だけでよく、1人がモニターを見て、もう1人が飛行ロボの準備をしたり、必要に応じてリモコンでの手動操縦をしたりする。もっとも、飛行ロボは基本的には離陸から着陸まで、全て自動運転である。なお、今回使用した飛行ロボは日本製だが、ALSOKはハードにはこだわらず、他の飛行ロボも検証していきたいとしている。

 実はALSOKはメガソーラーの警備業務で、国内最大シェアを誇る。現在、稼働しているメガソーラーは全国に1100カ所以上あり、そのうちの約半分が警備を導入しているといい、400カ所ほどがALSOKの顧客だという。今後もメガソーラーは稼働が相次ぐため、ALSOKの警備サービスは利用件数が増えていくとみられる。

 そこに、飛行ロボを使った効率的なパネル点検サービスも組み合わせて提供することで、メガソーラー向けの関連ビジネスを充実させていきたい考えだ。