写真1●HGSTが今回発表した製品の一覧
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写真2●「Active Archive Platform」の概要
写真2●「Active Archive Platform」の概要
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 「生成されるデータ量の増加と、データから意味を見いだすスキルの向上の両輪で、“価値があるデータ”の量が飛躍的に増える」。米HGSTでシニア・バイス・プレジデントを務めるデーブ・タン氏は2014年9月18日に都内で開催された記者説明会で、こうした見方を示した。タン氏は価値があるデータの量が2020年に2013年比で17倍まで増加するとし、大容量化とアクセスしやすさを両立する「アクティブアーカイブ」の重要性が高まると主張した。

 HGSTは米国時間の同月9日に、(1)アクティブアーカイブ向けのラック型ストレージ「Active Archive Platform」、(2)PCI Express(PCIe)接続のSSDをクラスター化するソフトウエア「Virident Space」およびNVM Express(NVMe)規格に準拠するSSD「Ultrastar SN100」、(3)業界初となる10Tバイトの容量を達成した3.5型HDD、などを発表した(写真1)。今回の説明会はこれらの製品を国内で紹介するために開催したものだ。

 (1)のActive Archive Platformは、HDDベースのストレージ装置と磁気テープのアーカイブ装置の中間に位置付ける製品。長期間の保存とランダムアクセスが要求される用途に向ける(写真2)。ラック型のきょう体と、内部のHDDやSSD、管理用ソフトウエアをHGSTが一括で提供する。同社はActive Archive Platformのサンプル出荷を一部の顧客向けに開始した段階で、2015年に仕様の詳細を開示する予定。1ラック当たり10Pバイト以上という業界最高水準の容量密度の実現を目指す。

 (2)のVirident Spaceは、PCIe接続のSSD最大16台をクラスター化し、最大128台のサーバーの共有ストレージとして利用できるようにするソフトウエア。いわゆる「サーバーSAN」を可能にするもので、Oracle RACやRed Hat GFSなどの共有ストレージアプリケーションに向ける。

 Ultrastar SN100は、PCI ExpressインタフェースでSSDを接続する際の規格であるNVMeに、HGSTとして初めて対応した製品である。特殊なドライバーソフトウエアを導入する必要がない。1.6Tバイト品と3.2Tバイト品を用意する。

 (3)の10TバイトHDDは、サンプル出荷を開始した。データトラックを屋根瓦のように重ねて記録するSMR(Shingled Magnetic Recording:瓦磁気記録)技術と、HDD内部にヘリウムを充填する技術の組み合わせによって世界初の10Tバイトを実現したもの。10Tバイトを記録できるのは順次書き込み時のみであるため、データセンターなどのアクティブアーカイブに適するとHGSTは説明する。この他HGSTは、空気を充填しながら容量6Tバイトを実現した3.5型HDD「Ultrastar 7K6000」、ヘリウム充填HDDの第2世代品である容量8Tバイトの「Ultrastar He8」を発表した。