写真●SR24000モデルXP2の外観
写真●SR24000モデルXP2の外観
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 日立製作所は2014年9月16日、スーパーコンピュータの新機種「SR24000シリーズ」(写真)を発表した。従来機種「SR16000シリーズ」と比べ、プロセッサをPOWER7+からPOWER8に変更し、メモリー転送速度を高めた。今回発表の「SR24000モデルXP2」と従来モデル「SR16000モデルXN1」を同一コア数で比較すると、実効性能は約1.6倍に向上した。9月17日に発売し、2014年12月1日に出荷を開始する。

 SR24000は、流体解析や衝突解析などの科学技術計算に向いたスーパーコンピュータである(関連記事:日立、POWER7+採用で省電力を追求した中小規模スパコンを発表)。プロセッサにPOWER8、OSにAIXを搭載したSMP構成のノードを、最大512ノードまでクラスタリング接続して使う。OSはAIXであるため、分散ファイルシステムなど各種のクラスター制御ソフトを利用できる。開発環境としては、C/C++やFortranの言語環境、並列プログラミング用のMPIライブラリーや行列計算ライブラリーなどを利用できる。

 搭載プロセッサの違いにより、上位モデル「XP2」と、下位モデル「XP1」を用意した。上位のXP2は、高さ4Uのノード当たりPOWER8(3.52GHz、12コア)を2個搭載し、ノード当たりの理論演算性能は675.84GFLOPS。一方のXP1は、高さ2Uのノード当たりPOWER8(3.42GHz、10コア)を2個搭載し、ノード当たりの理論演算性能は547.2GFLOPS。ノード当たりの最大メモリー容量は、XP2とXP1ともに1024Gバイト。

 両モデルとも冷却方式は空冷で、熱交換水冷リアドアー(排熱を水によって熱交換して冷やす方式を採用した後面ドアー)をラックのオプションとして提供する。

 従来機種との比較では、プロセッサ性能とメモリー転送速度を高めることで、実行性能を向上させた。新機種の上位モデルであるSR24000モデルXP2と、従来機種のうちXP2と同じ空冷方式を採用したエントリーモデルであるSR16000モデルXN1を比較すると、メモリー転送速度は約2.8倍の384Gバイト/秒に、同一コア数での実効性能は約1.6倍に向上している。さらに、ノード間のデータ転送速度は、InfiniBandの高速化によって約3.3倍の54.2Gバイト/秒に向上している。